産業春秋/ロケット開発の困難

(2022/2/11 05:00)

コロナ禍が本格化する少し前、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新型ロケット「H―3」の責任者に「難度の高い開発ですが、順調に行きますか」と失礼な質問をしたことがある。返事はもちろん「万全を尽くします」。

その後、H―3は1年間の開発延期。さらに1月に再度の延期を発表した。「ロケット開発には魔物が潜んでいる」という古くからの言い伝えを、あらためて実感させられる。

問題となったのはエンジン燃焼中の内部に「裂け目」が生じることと、回転中のタービン翼が破断してしまうこと。前者は解決できたが、後者は確証が得られないという。エンジンはそもそも使い捨て。数百秒の燃焼時間を乗り切ればいい。そのハードルが、想像を絶して高い。

海外では“こなれた技術”のエンジンを複数束ね、安価に実用性を実現する手法もある。最高の性能を追い求める日本のやり方が適切かどうか、それはいずれ歴史が教えてくれよう。

52年前のきょう、日本は初の人工衛星「おおすみ」を宇宙に届けた。打ち上げに使ったL―4Sロケットは4度の失敗を記録している。当時も今も、魔物を制する困難は変わるまい。現代の開発者たちに、熱いエールを送る。

(2022/2/11 05:00)

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