産業春秋/養殖サバの産業化

(2022/2/25 05:00)

「産業」はもともとインダストリー、すなわち製造業の訳語。だが工業製品に限定するのは間違いではないか。国立研究開発法人水産研究・教育機構理事長の中山一郎さんの研究を聞いて認識を新たにした。

タイトルは「持続可能な次世代養殖システム」。具体的には言えば高級サバを養殖して輸出産業に育てる研究だ。科学技術振興機構(JST)の未来事業創造事業に採択された“優等生”という。

内容は驚くほどシステマティックだ。エサは植物素材から魚の必須栄養素を含有する発酵物から生産する。日本の得意なしょうゆやみその研究成果が活用できる。ゲノム技術を応用して養殖する魚種を生み出し、不妊化処置を施すことで“海賊版”を防ぐ。

沿岸の養殖場だけでなく、洋上風力発電を組み込んだメガフロートを構築。エサ、魚種、生産の技術開発を専門家が分担し、これらを最適化して半年周期で高品質なサバを量産する構想。もはや「サバ工場」と言っても過言ではあるまい。

中山さんは学者出身ながら、水産庁でも研究キャリアを積んだ実践派。「いつまでもおいしいお魚が食べられるよう頑張ります」という決意の言葉に、漁業が製造業の一員になる夢を見た。

(2022/2/25 05:00)

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