産業春秋／「うどん県」知事の12年

香川県の浜田恵造知事が９月の任期満了に伴い、今夏に予定されている知事選への不出馬を表明した。３期目の今期限りで退く。これで同県知事は４人連続で３期の任期を満了して退任となる。

浜田さんは７０歳。香川県観音寺市出身で財務官僚などを経て２０１０年の知事選で初当選した。瀬戸内海の島々を舞台に１０年初開催した現代美術の「瀬戸内国際芸術祭」は今年５回目を迎え、香川を代表する全国区のイベントに成長した。

県内随一の番の州臨海工業団地（坂出市）に松谷化学工業（兵庫県伊丹市）が甘味料の工場を１３年完工するなど企業誘致にも尽力。１７年には長く続いてきた豊島の産業廃棄物問題で廃棄物の無害化処理が完了となった。

ユニークさで注目されたのは１１年に始めた「うどん県。それだけじゃない香川県」のプロジェクト。香川県を「うどん県」に“改名”し、県出身のタレントを起用して讃岐うどん以外の魅力も発信する取り組みは、にぎわい創出の起爆剤になった。

浜田さんも現在、他の知事同様にコロナ禍対応で陣頭指揮を執る。次の県政トップにはコロナ対応強化の継続とともに、ダメージを受けた県内経済の立て直し策を早期に打ち出してほしい。