産業春秋／「全国旅行支援」どうなる？

政府の新たな旅行需要喚起策「全国旅行支援」の行方が不透明になってきた。現行の「県民割」を全国に拡大した旅行割引・クーポン配布のサービスを７月前半に開始予定だった。だが全国的に新型コロナウイルスへの新規感染者が増加の局面にある。

政府は実施の判断について「もう少し感染状況を見守りたい」と慎重だ。仮に政府が実施を決めても、新たな支援策に参加するかは各都道府県が判断する。不参加の自治体が増えれば「全国旅行」は骨抜きになり、利用者の混乱は必至だ。

エイチ・アイ・エス（ＨＩＳ）がまとめた「２０２２年夏休み旅行予約動向」によると、国内旅行者はコロナ禍前の９割弱まで回復している。コロナ禍で自粛していた消費者のリベンジ旅行が増えているという。

モノ・サービスの価格が高騰しているだけに、全国旅行支援が実施されればリベンジ旅行はさらに後押しされるだろう。支援を受けるにはワクチン３回接種か陰性証明書の提示が必要で、若者の接種増も期待できる。

政府と自治体はどのような判断を下すのか。実施しない場合、７月１４日で終了する現行の県民割を延長するなど次善の策はあるのか。参院選後の政権の反応を待ちたい。