インタビュー/三井物産マシンテック社長・片岡健太郎氏 産ロボで人手不足打開

(2023/10/23 05:00)

機械から食品・物流に拡大

三井物産マシンテック(東京都港区、片岡健太郎社長)は、製造業の人手不足対策に経営資源を集中投下している。初のショールームとなるロボットの実証施設を都内に開業し、専門のエンジニアを配置した。機械商社として機械加工の顧客を深掘りしながら、同じく人手不足に直面する食品や物流といった分野に裾野を広げる。5年後の国内販売台数は現在比5倍が目標だ。片岡社長に今後の戦略などを聞いた。

―国内製造業の課題をどう見ていますか。

「日本のモノづくりは転換期にあると思う。大企業から中小企業までの深刻な共通課題が人手不足だ。工作機械が主力の専門商社として、この課題解決にコミットしなければならない」

―具体策は。

「9月に東京・天王洲アイルにロボットの実証施設『インダストリアル・ロボット・ハブ』を開設した。産業用ロボットの実機を顧客と動かしながら対話する場だ。顧客課題に向き合い、一緒に解決する姿勢を形にした」

「ロボット・ハブは顧客やロボットシステムインテグレーター(SIer)などとの仲間作りの場にもする。産学連携のラボ(研究施設)としても活用したい」

―高度な自動化を提案するための人材は。

「ロボット・ハブには、自動車会社出身者をはじめエンジニアとしての経験が豊富な人材が常駐している。同時に、営業を含めた従業員の教育を強化しスキルアップを図る。工作機械の営業現場では以前から工作機械とロボットをシステム化する話が多く、当社にロボットの知見はある。今後はより意識的に自動化提案に取り組む」

―機械加工以外の顧客の開拓は。

「産業用ロボットは、あらゆる業種が顧客になりうる。当社にとって食品や物流は新しい分野だ。認知度を高めながら開拓する」

―総合商社系の強みをどう発揮しますか。

「モビリティーをはじめ三井物産のさまざまな領域で相乗効果が期待できる。私自身が三井物産在籍時に当社の社員と顧客を訪ねたこともあった。海外展開などでももっと連携したい。メキシコでは三井物産の拠点に当社の社員がいる。他の国でも同じことが考えられるだろう」

【記者の目/自動化導入、役目大きく】

日本商工会議所の調べでは、中小企業の「人手不足」が過去最大の約7割に達し、うち6割以上が「非常に深刻」という。ロボット各社や周辺機器各社の技術革新などでロボットの操作は飛躍的に難易度が下がった。それでも導入に二の足を踏む経営者といかに対話し、後押しするか。新施設の役目は大きい。(南東京支局長・六笠友和)

(2023/10/23 05:00)

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