中小賃上げ異例の高水準 勢い持続か停滞か、転嫁の成否が直結

(2024/5/2 17:00)

2024年春季労使交渉(春闘)は、大手企業による高水準の賃上げの勢いを保ったまま、中小企業の交渉が佳境を迎える。連合の回答集計は例年、回を重ねるごとに賃上げ率が鈍化するが、24年は逆に中小企業が上方修正される異例の展開をみせる。ただ中東情勢の緊迫化や日米金利差による為替の円安、原材料高など収益悪化への懸念は増す。中小の賃上げの流れは滞るのか、人材確保を狙った“防衛的賃上げ”が継続するのか、先行きは予断を許さない。

連合が4月中旬に公表した第4回回答集計によると、これまでに7割超の組合の交渉が妥結し、定期昇給(定昇)とベースアップ(ベア)合わせた賃上げ率(加重平均)は5・2%で33年ぶりとなる5%台を維持した。うち300人未満の2123組合の定昇込み賃上げ率は4・75%に達し、前回集計を0・06ポイント上回った。大手企業がけん引する高水準の賃上げの流れは「しっかり引き継がれている」(連合)。

あらゆる産業で人手不足が深刻化する中、中小企業は厳しい収益環境ながらも人材の確保、定着を図るため身を削る覚悟で賃上げに踏み切らざるを得ないのが実情だ。にもかかわらず、もともと賃金水準が高い大手が大幅な賃上げに踏み切った結果、今春闘は企業規模による賃上げ水準の格差が23年以上に拡大傾向にある。中小企業の間でも価格転嫁の進捗(しんちょく)によって賃上げ率の開きが顕在化する課題にも直面する。

  • 中小企業は人材の定着を図るため身を削る覚悟で賃上げに踏み切らざるを得ない(イメージ)

物価上昇を上回る継続的な賃上げの旗を振る政府は、地方や中小企業への波及がカギと位置付け、取引適正化を通じた原資確保を後押しする。円滑な価格転嫁を促すための交渉指針を23年秋に策定し、監視を強めている。だが大手との取引をめぐっては、原材料やエネルギー価格の上昇分に加え、人件費の増加分を納入価格に上乗せする価格転嫁が十分ではないとの不満は根強い。

ものづくり産業労働組合JAMによると、今春闘でのベア妥結額が平均9131円だった418組合のうち、原材料価格などの上昇分全てを取引価格に上乗せできた組合のベア額は平均を835円上回る9966円。労務費も転嫁できた労組のベア額は、さらに上回る1万1568円という。価格転嫁対策の重要性を裏付ける結果と受け止めている。

(2024/5/2 17:00)

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