スペースシフト、衛星データの活用後押し AI解析で応用広がる

(2024/5/31 12:20)

  • 地球観測衛星「だいち2号」をはじめ、多くの衛星がさまざまな地上のデータを収集している(JAXA提供)

宇宙には多くの衛星が点在し、地上の撮影などさまざまなデータを取得している。だが衛星データを有効活用できているのは一部で、軍事などでは収益が見込みにくい。スペースシフト(東京都千代田区、金本成生最高経営責任者〈CEO〉)は、衛星データ事業共創プログラムをはじめ、分野を問わず衛星データを活用した事業を後押しする。非宇宙企業の参画も見込み、日本の宇宙開発に新たな風を吹かせたい考えだ。

世界中で宇宙開発が進む中で、日本も新たなアイデアとともに他国にない独自の技術を取得する必要がある。政府もこれまで宇宙分野に関わりのない“非宇宙企業”の参画を促しているが、その一歩が踏み出しにくい環境になっているのが現状だ。スペースシフトの金本CEOは「政府が注力する分野は宇宙機や装置などのハードなモノづくり。衛星などが取得したデータを生かすソフトの部分は支援しにくいだろう」と考察する。

  • 人工衛星で地上を撮影したデータを基に、農作物の育成状況をAIで検知。育成状況によって色分けしている(スペースシフト提供)

衛星が得たデータは山積する中で有効活用している分野は少ないが、こうしたデータはさまざまな産業分野で利用できる。スペースシフトは人工知能(AI)を組み合わせた衛星データの解析技術を開発し、これまでに農作物の育成状況の検出や河川などの浸水判断といった分野に活用してきた。この解析技術を生かし、より多くの分野に波及すべく衛星データ事業共創プログラム「サテラボ」を開始した。

サテラボでは、衛星データを利用したビジネス展開を検討している顧客の市場や課題に合わせて、解析したデータを使って新事業を支援する。早ければ3カ月ほどで事業化できる事例もあり、技術革新のスピードが速い宇宙分野の中でも迅速に社会実装につなげられる。売上高目標は2026―27年に10億―20億円で、年内に50―100社の参画を目指したい考えだ。すでにオリックスや電通など11社が参画しており、保険やマーケティング、建築といったさまざまな分野での応用が期待できる。

こうした取り組みは海外にはなく、民間では世界初とみられる。衛星データを農業や災害時に活用する事例は世界では少なく、米国にも拠点を持つスペースシフトは今後日本だけでなく海外の顧客も取り込みたい考えだ。金本CEOは「衛星データを産業化するには非宇宙企業を含む顧客への提案がカギとなる」と強調。同プロジェクトを多くの分野の人に知ってもらうためにも、今後は周知にも力を入れる。

同プロジェクトを含めて同社の成長スピードを加速するために、7社から6億円の資金を調達。事業拡大やカバナンスを強化すべく経営体制を改めた。新たに最高財務責任者(CFO)に就任した内藤淳氏は「日本・海外問わずにさまざまな産業や政府、研究機関に貢献できる技術だろう」と期待する。日本の宇宙開発の促進だけでなく海外にも事業展開することで、衛星データを活用した産業の加速につながる。

(2024/5/31 12:20)

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