DMG森精機、工作機械の鋳物部品を再資源化

(2024/6/20 12:00)

  • DMG MORIキャステックの鋳造工程

DMG森精機は工作機械の使用済み鋳物部品を回収し、再び同社製工作機械の鋳物部品の原料に再資源化するサーキュラーエコノミー(循環経済)の構築に乗り出した。調達から廃棄まで製品のライフサイクル全体で脱炭素の取り組みを加速し、高品質な鋳物の安定調達にもつなげる。

子会社のDMG森精機CIRCULAR(CIRCULAR、三重県伊賀市)と鋳物製造のDMG MORIキャステック(キャステック、島根県出雲市)と連携する。DMG森精機が顧客から廃棄対象の同社製工作機械を引き取り、協力先の解体業者で鋳物部品を抽出して細断。鋳物原料としてキャステックで溶解し、工作機械の土台となるベッドなどの鋳物部品を製造する。これまでに剛性など鋳物部品としての適性を検証。解体業者と回収した鋳物の成分を分析するなど品質確保の仕組みも構築した。

2024年は約100台の工作機械を引き取り、DMG森精機の鋳物加工工程で発生する切り粉も回収して約560뗢の鋳物原料を調達。銑鉄から鋳造する場合と比べ約900뗢の二酸化炭素(CO2)削減を目指す。

鋳物をめぐっては人手不足や原材料費の上昇などから調達リスクの高まりが懸念されている。一方、製造業ではコロナ禍でサプライチェーン(供給網)が寸断され、地域を越えた部材調達の難しさが露呈した。DMG森精機の藤嶋誠副社長はキャステックの子会社化などで「グループで高品質な自社製の鋳物の安定調達に力を入れている」と指摘。鋳物の循環型経済の構築で持続可能な供給網の更なる強靱(きょうじん)化につなげる。

(2024/6/20 12:00)

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