(2024/7/4 12:00)
キヤノンは画像処理ソフトウエアとネットワークカメラやミラーレスカメラなどの各種カメラを組み合わせて、人が行っている点検・検査といった業務の自動化を支援している。製造業や流通・小売業など幅広い業種に向けて、映像を活用したデジタル変革(DX)を後押しし、近年は物流関連の引き合いも増えている。
2018年に発売した同ソフト「ビジョンエディション」は、ネットワークカメラや産業用カメラ、ウェブカメラ、ミラーレスカメラのEOS Rシリーズなどの多様なカメラデバイスで撮影した映像から、ラベルやアナログメーターの読み取りといった画像処理ができる。製造業向けには製品の外観検査や組み立て工程の検査の自動化、小売業向けには店舗商品棚の欠品検知など、さまざまな用途で導入が進む一方、トラック運転手の残業上限規制に伴う「2024年問題」に直面する物流向けへの提案にも注力している。
直近ではロボットや工場自動化(FA)設備向けの特殊ケーブルを手がける太陽ケーブルテック(大阪市北区)の物流センター(兵庫県三田市)に採用された。同センターでは出荷検品作業で製品の2次元コード(QRコード)を作業者がハンディーターミナルで読み取っていた。複数人が毎日約3時間かけて作業し、トラックの待ち時間にも影響していたという。
そこで、キヤノンのミラーレスカメラ「EOS R5」とビジョンエディションを導入。有効画素数約4500万画素の高解像度撮影と画像処理によって、QRコードの一括読み取りが可能となった。ネットワークカメラでも対応可能だが、ミラーレスカメラの高解像度を利用し、より短時間で作業したい顧客の要望に応えた。
同センターで4月から本格稼働しQRコードの読み取り作業は無人化を実現。トラックの待ち時間もほぼなくなったという。太陽ケーブルテックの谷口明広社長は「作業環境の改善や作業工数の削減につながり、物流の2024年問題を解決する一つの手がかりになった」と効果を話す。
キヤノンの映像DXソリューションに対して、物流関連ではトラックコンテナの積載状態を撮影してデータに残したいといった相談も増えている。今後の展開について、キヤノンイメージング事業本部の長谷川文彦部長は「現状は一部の工程に当社の映像DXシステムが入っているが、工場全体のDX支援へもビジネスを広げたい」としている。
(2024/7/4 12:00)
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