SCREENHD 彦根事業所、半導体装置生産棟 相次ぎ新棟

(2024/9/11 12:00)

需要変動対応 自動化も視野

  • 半導体洗浄装置の需要は伸び続けている(同装置のユニット組み立て現場)

SCREENホールディングス(HD)の彦根事業所(滋賀県彦根市)は、同社が世界シェア首位を握る半導体洗浄装置の主力工場だ。同社は2033年3月期に売上高で現状比2倍の1兆円以上を目指しており、売上高の約80%を占める半導体製造装置事業のマザー工場である彦根事業所が担う役割は大きい。半導体の需要拡大に応じて設備投資を続けており、自動化も推進して生産能力を高める。

SCREENHDの彦根事業所は直径300ミリメートルのウエハーに対応した枚葉式洗浄装置などを生産する。現在、半導体製造装置の生産棟「Sキューブ」は5棟あり、このうちSキューブ4は23年1月に、Sキューブ5は24年1月にそれぞれ操業を開始した。これら2棟の新設で、生産能力は子会社のSCREENセミコンダクターソリューションズ(京都市上京区)グループの売上高ベースで22年比40%増の年5000億円に拡大した。

  • 1月に稼働した半導体製造装置の新棟「Sキューブ5」

Sキューブ5では部品配膳に無人搬送車(AGV)を活用する。AGVは床に貼り付けた2次元コードから位置情報を把握し、走行する。2次元コードはレイアウト変更が容易で、AGVも非固定式の設備。SCREENセミコンダクターソリューションズの木本啓介生産統轄部長は「10―20年後の洗浄装置の主流はどのようなものか分からない」と半導体業界の難しさを説明する。半導体は需要変動が大きく技術革新も速いことから、新棟はフレキシブルな製造現場とした。

Sキューブ3、4、5では3棟にまたがる形で洗浄装置の一連の生産ラインが構築されている。売れ筋の装置を集中的に生産することで、生産性向上と高利益率の確保につなげている。現在は枚葉式洗浄装置「SU―3200」の生産が中心だ。回路の線幅が1ケタナノメートル(ナノは10億分の1)の半導体向けでは装置内の微細なゴミも問題となることから、各種工夫を凝らす。顧客の先端半導体の生産を支えるため、SCREENHDの生産工程においても独自の方法でパーツやユニットのクリーン度を高く保つ。

相次ぐ生産棟新設で、彦根事業所での増強余地には限界が見え始めた。ただ、そのような中でも半導体洗浄装置の需要は伸び続けており、生産能力向上は依然として課題だ。木本統轄部長は「まずは時間をムダなく有効活用することが必要」と話す。

時間を有効活用して生産できるよう、装置組み立てや機能検査の自動化について検討を始めた。装置の仕様は顧客ごとに異なるため、共通する部位や機能の組み立て・検査から自動化しようとしている。

(2024/9/11 12:00)

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