明和製作所、モーター生産管理 高度化 量産品・特殊品を両立

(2024/9/25 12:00)

明和製作所(福岡県糸島市、生野岳志社長)が、モーターの生産性向上の取り組みを進めている。生産と納期のリードタイム管理の高度化では、10年以上前から取り組む制約理論(TOC)に基づく手法が浸透している。ユーザーの用途に適した専用設計と、多品種小ロット生産に柔軟に対応できるのが同社の強み。本来、限られた品目の生産に効果的な自動化設備の導入は適さないが、独自の改善活動で成果を上げる。

  • 量産品と特殊品が両方できるのが特徴(モーター部品の検査工程)

モーター生産で特徴的な作業が電線を巻き付ける巻き線工程だ。モーターの心臓部と言える部分を作る重要な作業。モーターの仕様によって電線の太さや巻き数は異なる。明和製作所は自動巻き線機を使い、治具を交換することで300種以上の巻き線パターンに対応する。

太い電線など自動機械の使用が難しい場合、簡易機械と人の手による「手巻き」となる。手巻きは時間がかかるが、小ロット生産に欠かせない。また、機械による自動巻き線が可能でも手巻きを選択する場合がある。試作段階や生産数が少ないケースで、治具への投資費用を抑えられるからだ。

生野社長は「量産品と特殊品が両方できるのが当社の特徴」と話す。さらに歯車や減速機といったモーターの周辺部分を含めた内製率の高さも特徴であり、強みだ。

  • 販売管理を組み合わせた統合型の生産管理システムを導入(現場の端末を操作する作業者)

生産管理には、販売管理を組み合わせた統合型システムを導入。全体最適を考慮した納期管理と並行して工程ごとの生産性を見る。

さらに製造現場の作業者4人当たり1台の専用端末とバーコードリーダーのセットでの活用を進める。通信インフラと情報セキュリティーの強化にも取り組む。これにより生産管理関係者だけでなく、作業者も作業完了時に現場で報告や参照ができるようになった。

今後は端末セットを導入する工程を増やすことや、モニターの大型化を進めて生産管理の取り組みを拡充する。将来はバーコードに代わるICタグの採用も検討する。

品質管理は独自の「3H+(プラス)F・C管理」という仕組みによる。Hは「初めて」「変更」「久しぶり」の製品や作業。ミスが発生しやすいため生産管理システムで自動的に注意喚起する。「久しぶり」は1年以上ぶりが対象。Fは不具合が発生したことがある製品、Cは海外規格認証品などを指し、生産前に注意を出す。

生野社長は「品質は永遠の課題で完全な解決はあり得ない」と気を引き締め、日々改善を続ける。

(2024/9/25 12:00)

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