(2024/10/1 05:00)
自民党の石破茂総裁は30日、衆院を10月9日に解散し、同27日に投開票を行う方針を表明した。公示は同15日。石破氏は当初、臨時国会での予算委員会で与野党論戦を行い、有権者に判断材料を提示するとしていた。だが「短期決戦」となることで論戦が不十分なまま総選挙に突入しかねない。立憲民主党など野党は強く反発する。論戦に踏み込まない自民党の姿勢が、むしろマイナスに作用しないか、総選挙の行方を注視したい。
石破氏の党内基盤の弱さが、衆院解散・総選挙の時期にも及んでいるのが気がかりだ。石破氏は当初、1日召集の臨時国会で予算委員会を開き、有権者に争点を明らかにする意向を示していた。だが4日に首相の所信表明演説、7日から各党の代表質問が行われ、9日の衆院解散までは時間がない。石破氏が短期決戦に傾いたのは、森山裕幹事長の進言とされる。新内閣の支持率が比較的高いうちに、有権者に信を問う思惑のようだ。
石破氏は党内基盤が弱く、総選挙の結果次第では、党内の結束が今より乱れかねない。求心力低下を避ける上でも、自民党に有利とみられる早期解散へと方針を転換したとみられる。
立憲民主党は、能登の復旧・復興に向けた補正予算を編成した上で、解散・総選挙を行うべきと訴えてきた。自民党の短期決戦の判断が果たして奏功するのか、選挙戦を見守りたい。
衆院解散を予定する9日、与野党の党首討論を開く方向で調整されているという。限られた時間だが、総選挙の争点を有権者に明確に示してもらいたい。
自民党役員人事が30日に決まった。総裁選の決選投票で高市早苗氏を支持した麻生太郎氏を最高顧問に、石破氏を支持した菅義偉氏を副総裁に起用し、挙党態勢に配慮した。選挙対策委員長には、総裁選の第1回投票3位だった小泉進次郎氏が就いた。ただ高市氏や小林鷹之前経済安全保障相が党役員人事を固辞し、挙党一致に懸念を残す。
自民党は総選挙で勝利し、不協和音が聞こえる党をまとめられるのか。石破氏が直面する二つの難路の行方を注視したい。
(2024/10/1 05:00)
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