社会での“ザセツ”も織り込み済み!根幹(ルート)テクノロジー技術者教育-長岡技術科学大学の「卓越大学院プログラム」【PR】

(2019/7/31 05:00)

  • キックオフにて中山教授と選抜プログラム生

 人材養成の最高峰、大学院博士課程は「2年の前期課程と3年の後期課程からなる一貫教育」というのが世界の高等教育の常識だという。日本では前期2年にあたる修士課程を終えて、企業へ就職する理工系学生が少なくない。しかし欧米先進国のように企業、行政機関、国際機関などでも、社会変革をリードする博士人材(博士号取得者)を日本でも輩出したい。そのためには、産業界や海外の研究機関と連携して、専門性に加えて独創性や社会全体の俯瞰力を持たせる、新時代の博士教育を進めよう-。

 こんな狙いで文部科学省が2018年度から始めた事業が「卓越大学院プログラム」だ。初年度採択13大学15件の多くが、旧帝大など研究型大学という中で、『長岡技術科学大学』は異彩を放つ。

 目指す人物像は、材料科学と電力工学をコアとした産業全体の根幹(ルート)を、情報工学の素養で革新する「ルートテクノロジー人材」だ。同大伝統の高度実践技術者の育成手法を生かし、製造業なら必ず必要となる基盤技術を、時代に合った形に変えるものとしても、工学系の教育改革に取り組む全国の大学の注目を集める。

 卓越大学院は多くの大学で、実社会の問題解決の演習や、海外の大学や研究機関への派遣を組み込む。同大もそうだ。しかし30年以上、修士進学予定の学部4年生に必修としてきた実務訓練が、他にない特色としてある。これは派遣先企業と綿密に連携した5カ月に及ぶインターンシップ(就業体験)だ。東信彦学長は「派遣中の活動で特許を出願した例もある」とその効果を説明する。全国にある工業高等専門学校の卒業生を多く受け入れ、研究より教育を優先する同大だからこその仕組みだ。

 これを土台に同大が卓越大学院向けにレベルアップしたのが「グローバル超実践教育」だ。受講生は企業でのプロジェクトリーダー実習か、海外大学での研究リサーチインターンシップを選ぶ。

 特徴は反復実習だ。5年間のうち2年次後半の実習でまず、気づきや挫折を経験。3、4年次の学びを充実させた上で、5年次に再挑戦して完成となる。これにより修了生は幅広い視野を持ち、世界の各地域に合った、新規産業の戦略を立てられるようになるとする。

 学内の実践教育の場もユニークだ。キャンパスのあちこちに置く「企業研究所」がそれだ。大学と企業の両方が資金を出すマッチングファンドの共同事業で、「ビル建設などで複数の企業が関わるプロジェクトになぞらえ、ジョイントベンチャーと呼んでいる」と中山忠親学長補佐・教授は説明する。テーマはスポーツで使うスマートウオッチ、自動運転、水浄化システム、新蓄電方式、人工知能(AI)など。学内の研究スペースの1割を充てるという本気度だ。大手企業を同プログラムに引きつける手立てにもなる。ちなみに住友電気工業、富士電機などが、連携する企業のリーダー格だ。  

 また、地域にある大学として自治体との連携も重要だ。新潟市は航空機産業参入に向けた「新潟スカイプロジェクト」で、オンリーワン技術を持つ強い中小企業の共同受注工場を動かしている。この地域が得意とする金属材料でいえば、加工や熱処理、研磨、表面処理、塗装などの工程をつなげる。ここで同大がモノのインターネット(IoT)技術で、各工程の生産調整のシステムを構築し、実証実験する計画だ。製造業だけでなく行政はもちろん、金融や商社、認証機関といった多業種の間を調整する。技術の社会実装を博士学生が学ぶ場としてぴったりだ。

 専門が狭く深く、扱いにくいといわれていた博士人材が様変わりすれば、企業の博士採用はぐんと増えることだろう。「将来、どれだけの企業が、このプログラムに参加したい、修了生を採用したいと口にするか。それが成否を決める」(東学長)。伝統を土台とした高度人材養成の新たな挑戦が動き出した。

長岡技術科学大学のホームページ

 https://www.nagaokaut.ac.jp/

(2019/7/31 05:00)

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