東芝の若き技術者たち(2) ~世界がうらやむ健康な高齢化~【PR】

(2020/8/28 05:00)

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日本が世界でもっとも少子高齢化の進んだ国であることは、揺るぎない事実である。常に「高齢化」と同時に語られることの多い「少子化」が、解決しなければならない「社会課題」であるのに対して、「高齢化」はそのすべてが問題ではない。平成28年版厚生労働白書の巻頭言では、「我が国は世界中の誰もが願う『健康で長生きしたい』という願いを世界に先がけて実現してきた」としている。そこにあるように、長生きされる方が増えることは喜ばしいことであり、健康であり続けることは誰もが望んでやまない願いなのだ。日本における高齢化は、問題ではなく人類の夢を実現した、一つの成功モデルとの見方もできるのだ。

高齢化を幸せなことにするテクノロジー

東芝デジタルソリューションズ株式会社の分倍河原事業所は、鎌倉時代の古戦場としても有名な分倍河原の駅前にある。ここから、日本の高齢化を世界がうらやむ成功例にするためのデジタル技術を研究する若い技術者がいる。

「今や介護サービスは、重要な社会インフラとなりました。このインフラを効率的に稼働させることで、すべての人がより豊かな生活を送れるよう、デジタル技術の分野から支援するのが、私の仕事です」

  • 東芝デジタルソリューションズ株式会社 福島崇文氏

東芝デジタルソリューションズ株式会社の福島崇文氏は、将来的な介護サービスの向上のために、介護の現場から集められる情報を収集して分析し、改めて介護の現場に役立つ情報とするシステムを提案するプロジェクトに携わっている。これは、東芝が追求するCPS(Cyber-Physical Systems)テクノロジーの、介護分野への応用に他ならない。

  • 介護の現場から集められた情報は、ビッグデータ分析され、再び介護の現場へと提供される

「高齢化社会や介護とデジタル技術。同時に語られることの少ないキーワードではありますが、将来的には、世界が注目する技術になると確信しています」

日本には、世界に冠たる皆保険制度に加えて、2000年に導入された介護保険制度がある。この二つの保険制度が「健康で長生きしたい」という夢の実現に果たした役割の大きさは言うまでもないだろう。そして、導入から20年となる介護保険制度は、次のフェーズをにらんだ進化を始めているという。

「私が入社する以前から、介護保険の要介護認定情報(被保険者の認定審査情報)や介護サービスの給付情報(7~9割負担のデータ)を各現場から厚生労働省に集約する『介護保険総合データベースシステム』が導入されており、都道府県や保険者の単位での、介護サービスの利用状況や費用の情報を把握することができるようになっていました。そして私が入社した直後の2015年7月には、『地域包括ケア「見える化」システム』が導入されました」

この地域包括ケア「見える化」システムは、都道府県・市町村における介護保険事業の計画策定・実行を支援するための情報システムであり、 介護保険に関連する情報をはじめ、地域包括ケアシステムの構築に関する様々な情報が一元化され、グラフなどを用いた見やすい形で提供されているという。

「こうした取り組みに加えて、介護サービスのさらなる向上のために、サービスを利用する人のより詳細な情報を介護現場から収集し分析できるシステム『VISIT』を開発しました。情報収集を継続するとともによりよい「現場の役に立つ情報」を提供していきたいと考えています。」

  • 通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集に係るシステム(VISIT)

※出典:「VISIT(通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集に係るシステム)の利用申請受付機能」のリリースについて

https://www.pref.chiba.lg.jp/koufuku/kaigohoken/kaigohokensaisinzyouhou/742.html

さらに、こうした情報収集とは別に、2015年度以前から収集していた情報を大学等の研究機関に提供することで、独自に研究を行える体制も実現しているという。

「この情報提供事業は2018年度に稼働しました。大学等の研究者へ提供したデータが、どのような研究成果になるかは楽しみの一つです」

  • 自身が携わる事業の将来について自分の夢のように語る、福島氏の真剣なまなざしが印象的だった

新しいコミュニケーション手段が、仕事と世界を変えていく

「2020年4月開始のシステムが、リリース直前に新型コロナウィルスによる影響を受けてしまいました。もともと、様々な事情から計画よりも短期間での開発を求められていたプロジェクトだったので、非常に苦労しました」

当所は、開発期間一年を想定していたプロジェクトだったという。しかし、実際には3ヶ月遅れで開発はスタートすることになった。そして、納期直前に新型コロナウィルスによるパンデミックが発生したのだった。

「乗り切ることができたのは、オフショア開発(システム開発の海外委託)のメンバーのおかげです。彼らとのチャットやビデオ会議によるスムーズな伝達が、開発期間短縮の大きな勝因でした」

プログラム開発を担当したのは、ベトナムにある東芝ソフトウェア開発ベトナム社。福島氏のチームは、このベトナムの技術者とのコミュニケーションに、チャットツールなどを積極的に利用していったという。

  • 日本とベトナムの距離を感じるのは、2時間のランチタイムの差くらいだという

「ひと言送ると、すぐに返事が来る。時には顔文字を交えて、励まし合ったりしました。こうした高速なキャッチボールができたことが大きかったですね。東芝の理念体系の、私たちの価値観にある『ともに生み出す』ということを、距離や時差を超えて実現できたのが、ちょっとうれしかったです」

遠く離れたベトナムの技術者とでも、チャットによるコミュニケーションで絆を深めていくことで、お互いに信頼し合うことができたという。

「頼れる人がいることの素晴らしさを実感しました。将来は、私も頼りがいのある技術者になりたいと思っています。そして、私のことを知ってくれた技術者が、他の人に私を紹介してさらに信頼の輪が広がっていく。そんな輪を、社内外に、世界に広げていくことが夢です」

福島氏は、高等専門学校と大学で情報通信工学を学んだ後、大学院で社会情報システム工学を専攻し、自分の学んできたことを、社会でどう役立てられるかを考えたという。

「専攻していた、情報技術を社会的に有効利用することを目指す「社会情報」の観点から、社会をインフラ面で支え、影響を与えることができるくらい大規模な企業で働きたいと考えて、東芝への入社を決めました」

大規模な企業というイメージを持って入社した東芝だったが、入社後に福島氏のイメージは一変する。

「もっと長い下積みも覚悟していましたが、実際には各個人に任せられる範囲が広く驚きました。入社2年目には、かなり自由な作業判断をさせてもらえました。でも、こちらが教えて欲しいと望めば、皆さんが親身に教えてくれる。家族のような温かさも感じました」

自分で考えて働くことは、技術者の成長のために重要な要素だと思うと福島氏は語る。

「やりたいことを仕事にしたいと考える方は多いと思います。しかし、それはやりたい業態や業務内容を指していないでしょうか? 本当に望むべくは、自分で考えて自分の思うように働けることだと私は思います。それが実現できたことが、東芝に入社して一番よかったことです」

そして福島氏は、自ら考えて自ら手掛ける事業について「使命感の強い事業」だと振り返る。

「高齢化は解決しなければならない課題ではありません。必要なことは、誰もが健やかに長生きできることなのだと考えています。その一つの要素が質の高い介護サービスの提供です。そのために、デジタル技術ができることを追求していかなければなりません。そしてこの世界一の高齢国家で実現したソリューションが、これから高齢化を迎える世界の国々の高齢化を素晴らしいものに変える手助けができる、まさに「人と、地球の、明日のために。」なる仕事だと思っています。これが、私のモチベーションの源です」

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    本記事は東芝の最新技術などを紹介する「Toshiba Clip」より転載しております。また、その他の東芝関連の記事は東芝×日刊工業新聞「Journagram」(https://www.nikkan.co.jp/jm/toshiba)でもご覧いただけます。

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