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[ 科学技術・大学 ]
(2016/12/15 05:00)
量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所の柿沼志津子部長らは、放射線の被ばくの総量が同じ場合、短時間で一度に被ばくするより、少しずつ長期間の被ばくの方が被ばくを原因とするがんの発生確率が低くなることを明らかにした。被ばくを原因とするがんと自然発生するがんを遺伝子解析で区別できる特殊なマウスを使い、ガンマ線照射後のがんの発生率を調べ解明につなげた。
今後、小腸や腎臓など複数の臓器のがんについてマウスやラットで実験することにしている。データを蓄積し、放射線被ばくによる発がんへの影響の解明が期待される。
柿沼部長らは、細胞増殖に関わる遺伝子「Ptch(ピッチ)1」に着目した。二つあるピッチ1のうち片方が異常になった「ピッチ1遺伝子ヘテロ欠損マウス」は小脳がんを発症しやすい。
自然発生するがんではピッチ1が二つとも異常、放射線被ばくによるがんでは正常なピッチ1の欠損が確認されている。マウスの放射線照射後にがん組織を採取。ピッチ1の状態を遺伝子解析し、がんの原因を調べた。
このマウスの生後直後にガンマ線を照射し、生後500日までに発生したがんの発生率を調べた。総量500ミリシーベルト相当のガンマ線を1分程度照射した場合、マウスの66%ががんを発症。そのうち、自然発生のがんが32%、被ばくによるがんが34%となった。
一方、最終的な被ばく量が同じになるように低線量のガンマ線を4日間かけて照射した場合、がんの発生率が55%で被ばくによる発がん率は16%になることが分かった。
成果は米科学誌ラディエーション・リサーチ電子版に掲載された。
(2016/12/15 05:00)
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