[ 自動車・輸送機 ]

展望2017/ヤマハ発動機社長・柳弘之氏「モトボットをロッシと競争させる」

(2017/1/10 05:00)

―2016年の振り返りを。

「16年1月に一まわりふたまわり大きく、個性的な会社を目指す新中期経営計画をスタートした。収益だけでなく、企業力全般にわたり大きくなることが目標だ。為替のギャップなど当初の前提と異なる点もあったが、一定の成果を得られた」

―2輪車の主要市場の見通しは。

「16年はインドネシアを除く東南アジア地域が好調でインドも伸びた。先進国は安定。商品ミックスやコストダウン効果で安定的利益を確保できる力がついてきた。17年もビジネス環境は大きくは変わらないだろう。1ドル100円、1ユーロ110円でも安定した利益を出せる体質を目指す」

―17年の商品戦略を教えてください。

「16年は80モデル、17年は110モデルを投入する。一つのプラットフォームで複数モデルをバリエーション展開するプラットフォームモデルは、第2世代の開発に入った。第1世代を進化させ高性能、軽量、低燃費をもう一段高めたい」

―新中計では成長戦略として投資、研究開発費で計1300億円を枠取りしました。その成果と進捗(しんちょく)は。

「ベンチャー投資は無人ヘリコプター技術と情報制御技術の融合など5件。米シリコンバレーにオフィスを置き、ヒト型自律ライディングロボット『モトボット』や低燃費エンジンの開発を進めている。コネクテッド、ロボティクス、モビリティがキーワード。富士重工業と汎用エンジン事業、ホンダとは排気量50cc領域や電動バイク開発でM&A(合併・買収)やアライアンスも一部成就した」

―4輪車とモトボットの開発状況は。

「4輪車は英ロンドンに5人が駐在し、著名デザイナーのゴードン・マーレーが手がける骨格を使った設計、試作が完了。17年前半にテスト走行する。モトボットは実用化している自動姿勢検出・制御技術に加え、人工知能(AI)や軌跡を採る仕組みなどを研究し、ライダーの安全運転を支援する技術を確立したい。17年はモトボットを(モトGPライダーの)ロッシと競争させるなどし、技術の成果をみせたい」

―設備投資計画は。

「インドに積極投資する。インド南部の工場を増強し、18年に2工場で150万台体制を構築する」

【記者の目/幹が育ち好循環】

柳社長が10年の社長就任以降、進めてきた構造改革が結実し、為替に左右されない強い体質づくりが完成形に近づいてきた。幹が太く育ったことで、自由な社風やチャレンジ精神がより生きる好循環が生まれている。永遠のライバル、ホンダとの協業には驚かされたが、柳社長は「そういう時代」と飄々(ひょうひょう)。これも氷山の一角か。(浜松編集委員・田中弥生)

(2017/1/10 05:00)

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