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[ 科学技術・大学 ]
(2017/1/17 05:00)
京都大学大学院医学研究科の本庶佑客員教授、茶本健司特定講師らは、がん免疫治療薬「オプジーボ」の効果を高める可能性のある新治療法をマウスの実験で発見した。オプジーボのようにがん細胞に発現する免疫のブレーキ役分子(PD―1)を阻害する抗体(抗PD―1抗体)と、活性酸素を生み出す低分子薬剤を併用し、抗腫瘍効果を大幅に高めた。薬剤は安価な市販の高脂血症薬「ベザフィブラート」が有効だった。
オプジーボの奏功率(治療率)は30―70%と患者によって差が大きい。併用療法が確立できれば、効果の小さい患者に対する治療率向上につながる可能性がある。また、安価な市販薬と組み合わせれば、高価なオプジーボの使用量を減らすことができ、医療費の負担軽減も可能だ。
研究グループは、PD―1の欠損したマウスは、キラーT細胞のミトコンドリアが活性化することに着目。大腸がんのモデルマウスに抗PD―1抗体と、活性酸素発生剤を同時に投与すると、単独より抗腫瘍効果を増強することを確認した。
成果は米国科学アカデミー紀要電子版に17日以降掲載される。現在、抗PD―1抗体とベザフィブラートの併用療法の治験を計画している。
PD―1は、がんを殺すキラーT細胞の表面に発現する。がん細胞は攻撃から逃げるため、PD―1と結合するたんぱく質(PD―L1)を作り出すが、抗PD―1抗体はこの結合を邪魔することで免疫細胞を活性化し、がんを攻撃する。オプジーボはこの仕組みを利用して作られた。
(2017/1/17 05:00)
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