深層断面／「官製春闘」４年目の息切れ−「経済の好循環」遠く

２０１７年春闘は１５日、自動車、電機など大手企業の集中回答日を迎えた。賃金水準を一律に引き上げるベースアップ（ベア）では、前年を下回る水準での妥結が相次ぎ、政府が賃上げの旗を振る「官製春闘」は４年目にして息切れが鮮明となった。世界経済の不透明感を背景に、意欲的な賃上げが個人消費を促し、懸案のデフレ脱却に道筋をつけるという「経済の好循環」シナリオの実現が遠のく。（特別取材班）

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  大手各社の回答は世界的な経済の先行き不透明感から小幅となった（１５日＝東京・日本橋の金属労協本部）

■ベア、前年割れ相次ぐ−新たな働き方探る／中堅・中小の賃上げ焦点

ベアは４年連続だが、勢いには陰りがみられる。１６年度上期の業績停滞と米トランプ政権による政策の不確実性を理由に、経営側が慎重姿勢を崩していないためだ。過去３年間の賃上げの「累積効果」が過小評価されているとの思いも強い。経団連の榊原定征会長は１５日夜、「その効果は数千円から...