[ 建設・住宅・生活 ]

戸田建設、PR動画で“イメチェン” 遊び心ある建設業を若者に訴求

(2017/4/12 05:00)

  • 動画で主役を演じた戸田建設の山本さん(中央、動画「世にもおかしな建築物」のワンシーン)

戸田建設が自社をPRする手法や、あり方を見直している。その一環として、ストーリー仕立てのPR動画「世にもおかしな建築物」を作成し、公開した。「食べられる建物」がテーマのプロジェクトに取り組む様子を描き、真面目に遊び心を表現。特に若者層に関心を持ってもらうことを意識する。自社だけではなく、「危険、汚い、きつい」の“3K”といった、型にはまった建設業のイメージ脱却につなげたい考えだ。(編集委員・村山茂樹)

少子高齢化や人手不足を背景に、建設業界は技能労働者の確保と育成が大きな課題。入職者を増やす上で、魅力ある建設業の実現は重要なテーマだ。

【ネットを活用】

「PRのあり方を考えるべきだ」。戸田建設は2年前、29歳までの社内の若手によるチームを設置。これまでのPR手法の見直しに着手した。戸田守道取締役専務執行役員は「訴求力があるPRは何か、若手の発想で検討してもらった」と説明する。若手チームはPR手法について、インターネットは訴求力が強いと判断。動画作成を提案した。

そもそも戸田建設のイメージは、一般的にどう見られていたのか。約2年半前、コンサルティング会社に企業イメージ調査を委託したところ、「真面目」や「堅実」といった結果が出た。前向きな評価を受けたものの、クリエイターとしての側面は見過ごされていた。

若手チームはこうした状況を踏まえ、「食べられる建物」のアイデアを発案した。「いけるところまでいってみよう」(戸田取締役)と、動画づくりのプロジェクトは2016年6月に始動。老若男女、本社・支店を問わず、26人の社員が参加した。撮影は17年1月に2週間ほどを要し、4月2日に公開した。

【細部にこだわり】

建物の主要材料に、コンクリートと性質と状態が似ている「ようかん」を採用。実際の建物と同様の施工プロセスをたどるなど、細部にこだわった。3次元(3D)CADを使った設計や、3Dプリンターによる型枠づくりを実施。ようかんの強度や耐震実験なども行った。遊び心はあっても「真面目に取り組む姿勢を示したかった」(同)からだ。

動画作成に携わった価値創造推進室企画ユニット環境・情報チームの五十嵐保裕さんは「遊び心に逆に戸惑った。今までと違う戸田建設を示せた」と振り返る。技術開発センター技術創造ユニット地盤震動チームの山本健史さんは「こういったことにお金をかけるとは思わなかった」と、笑顔で話す。山本さんは動画で2児の父親として主役を務めた。

戸田専務は「若い人に興味を持ってもらいたいし、古いイメージから脱却したい」と語る。今回の取り組みは“イメチェン”の一歩に過ぎない。中身を磨き続けながら、モノづくりの面白さや魅力を伝えていく努力が不可欠だ。

(2017/4/12 05:00)

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