[ オピニオン ]

社説/17年版水循環白書−水害に備え、BCP策定を急げ

(2017/6/6 05:00)

夏から秋にかけて毎年のように集中豪雨や台風による被害が発生している。水害への備えは極めて重要であり、企業も改めて必要な備品の点検や洪水ハザードマップを確認し、事業継続計画(BCP)を精査したい。

政府がまとめた2017年版「水循環白書」はここ数年、大きな水害が発生していると指摘する。15年9月の関東・東北豪雨や、16年8月に相次いで北海道などに上陸した台風による被害は、今でも記憶に新しい。

短時間に強い雨が降る回数や、1日当たり100ミリメートル以上の雨が降る日数も増えている。地球温暖化に伴う気候変動の疑いが指摘される。洪水の発生頻度が高まることが予想され、行政任せではなく、企業も含めた社会全体で洪水に備えるという意識改革が重要だ。

都市部ではアスファルトやコンクリートによる舗装により、土壌に浸透する雨水が減る一方で、“ゲリラ豪雨”による中小河川の氾濫や市街地の浸水など「都市型水害」が頻発している。雨水の貯留施設や放水路、下水道の整備が必要だ。

政府は全国で水害が多発していることに対応し、水防法を一部改正した。全国で自治体や河川管理者などが地域で連携し、洪水などに備える協議会の設置を求めている。こうした取り組みでは、地域での企業の役割も重要になる。

例えば宮城県の名取川・阿武隈川下流域の減災対策協議会では、洪水時に工場を地域住民の避難場所として活用できるように取り決めた。アイリスオーヤマ、ケーヒンなどが、地元自治体と災害避難者の受け入れで協定を結んだ。

BCPをまだ策定していない企業は、今すぐ取り組んでほしい。内閣府の15年度の調査によると、BCP策定率は大企業が約6割、中堅企業が約3割。今はもう少し策定率が高まっているだろうが、災害が頻発する日本において極めて低い割合だといえよう。

平時の取り組みが緊急時の被害を小さくする。雨期が本格化する前に、十分な防災対策を行っておきたい。

(2017/6/6 05:00)

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