[ 金融・商況 ]

三菱東京UFJ銀行副頭取・山名毅彦氏「中部経済の拡大基調続く」

(2017/7/12 05:00)

高水準の投資、商談会も活気

中部地区はリニア中央新幹線工事や、それに伴う再開発が本格化し活気づいている。旧東海銀行を母体の一つとするため中部の経済に大きな影響力を持つ三菱東京UFJ銀行(MUFG)はさらなる活性化に向けてどんな手を打つのか。中部4県(愛知、岐阜、三重、静岡)を担当する山名毅彦副頭取に地方創生やビジネスマッチングなどの取り組みを聞いた。

―中部の経済動向をどう見ていますか。

「経済の拡大が続いているのを実感している。中部をけん引する自動車が堅調で、愛知を中心に人不足が不安材料だ。それでも自動車以外の産業でも賃上げなどで採用に努力しており、小売業での人不足の影響は他地域より悪くない。低い成長率で長く続いているので、生活レベルでは経済の拡大を実感しにくいかもしれない」

―資金需要は。

「企業の設備投資も研究開発投資も前年並みだが高水準で順調に進んでいる。それが経済の少しずつの上昇維持につながっており、一気に落ち込むことはないだろう。中部は先進国経済の影響が大きいので、日米の貿易協定の動向が気になる」

―ビジネスマッチングに積極的です。

「中部4県で年間1200件以上の事業承継などの案件に取り組み、1000億円以上を貸し出している。財務内容がよい企業が多いのでニーズが高く、掘り起こす余地はまだある。名古屋で8400件を扱う大規模商談会ではナゴヤドームからはじき出されそうなくらいの客数で壮観だ。インバウンド(訪日外国人)など特定分野別のマッチングも月数回行っている」

―地方創生の取り組みは。

「街づくりに貢献する企業に金利優遇やコンサルティングを行う『地方創生ファンド』を4月に1000億円増枠して、3000億円の規模とした。申請済みの1700億円のうち約5割が中部の案件が占め、存在感は大きい。また中部の再開発事業の調査では約90件、事業費約2兆円の規模が見込めることが分かり、大型案件を中心に関わっていく方針。地方自治体の民間資金を活用した社会資本整備(PFI)でもスキーム組成などで協力し地域の魅力を高めたい」

―中部駐在副頭取で1年経過の感想は。

「名古屋の人は地元が大好きなのに、外部に向かっては好きだと言わない傾向にある。中部地区は工業だけでなく農業も盛んだ。地元の魅力を広く発信して誘客につなげ、東京一極集中を解消させたい」

【記者の目/MRJ量産まで資金力温存を】

中部地域の飛躍材料の一つとして期待される国産小型ジェット機「MRJ」は量産の延期で投資が一段落している模様。一方で銀行は低金利で厳しい経営環境が続く中、決済や運用、為替関連のサービス、商品の改良、開発で手数料の増収を図っている。銀行が収益基盤を強化し、MRJの量産が始まった時にも企業をきちんと支え、さらなる上昇につなげられるか、今後を占う材料だ。(名古屋・市川哲寛)

(2017/7/12 05:00)

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