[ オピニオン ]

社説/ASEAN50年 一方通行から双方向の協力関係に

(2017/8/7 05:00)

東南アジア諸国連合(ASEAN)は8日、創設50年を迎える。日本は1960年代から政府開発援助(ODA)などを通じて域内各国との関係は強固だ。各国の経済成長に伴い、従来の一方通行から双方向の協力関係の構築が望まれる。

ASEANは冷戦時代の67年にインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5カ国で発足。今はブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアを加えた10カ国で構成する。人口は2014年で6億2329万人と、欧州連合(EU)の5億人より多い。

国内総生産(GDP)は、90年の3700億ドルから2010年には約2兆ドルに拡大。三菱総合研究所によると、25年頃には日本を追い抜き、30年には7兆ドルに達するとみられている。

15年末にはASEAN共同体を発足。政治・安全保障、経済、社会・文化の3共同体から成り、ASEAN発足来の「内政不干渉」を貫く。それでいて、対話と協力を通じアジア太平洋地域の安全保障環境の向上を目指すASEAN地域フォーラム(ARF)といった多国間協力枠組みで中心的な役割を担う「中心性」戦略を掲げ、交渉力を発揮している。

97年に通貨危機に直面したが、それを乗り越え、今や世界の成長センターの一つとなった。域内に多い華人系財閥の蓄積した富は開放経済下の中国に投じられ、今日の中国の発展に貢献したのは周知だ。

だが問題はある。加盟国の経済格差は大きく、中国、インドの台頭など環境は大きく変化している。南シナ海で見られるような中国の領土的な野心への対応策で、加盟国間の意見不一致が目立ってきている。

日本はASEANにとって40年以上に及ぶ「最も古い友人」だ。緊密な経済関係だけでなく、ASEANの中心性・一体性を尊重する。日本は域内格差是正に貢献する複数国対象の技術協力のほか、防災や医療、インフラ整備での貢献も期待される。若者の文化・教育交流拡充などと合わせ、双方向性を重視した対応が求められる。

(2017/8/7 05:00)

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