[ ICT ]
(2017/9/28 13:30)
(ブルームバーグ)ソフトバンクグループは配車サービスの米ウーバー・テクノロジーズへの数十億ドルの出資計画で、大きな障害となっていた問題を解消した。不祥事で解任されたトラビス・カラニック前最高経営責任者(CEO)を再びウーバーの経営トップに据える計画が持ち上がった場合、これを阻止することにソフトバンクが同意した。事情に詳しい関係者が明らかにした。
6月にカラニック氏を辞任に追い込んだ主要株主のベンチャーキャピタル、ベンチマーク・キャピタルはソフトバンクに対し、カラニック氏のCEO再指名や取締役会長指名を阻止すると書面で確約するよう求めていた。関係者が語った。
ソフトバンクが主導するウーバーへの投資が実現すれば過去最大規模の私募となり得るが、話がまとまらず成立しない可能性もある。事情に詳しい複数の関係者によれば、中国の配車アプリ会社、滴滴出行は出資計画から撤退した。
ソフトバンクおよび投資会社のジェネラル・アトランティックとドラゴニア・インベストメントは依然、ウーバーと協議を続けている。このコンソーシアムはウーバーに少なくとも10億ドル出資する見込みで、この出資計画に基づくウーバーの評価額は690億ドル。また既存株主からも最大90億ドル相当の株式を取得する計画だが、関係者によれば、これらの株のバリュエーションは評価額約450億ドルから開始する入札プロセスによって決まる見通し。
関係者によれば、ソフトバンクは取引の一環として、取締役2人の割り当てを要求することを検討しており、取締役候補として同社取締役のラジーブ・ミスラ氏と子会社スプリントのマルセロ・クラウレ最高経営責任者(CEO)の名が挙げられている。また現在議論されている別の案は、ソフトバンクに取締役の席1つと取締役会オブザーバーの席1つを与えるというもの。いずれの案でも、ウーバーが新たな取締役を追加するのか、それとも現在の11人のメンバーを刷新するのかは不明。
ベンチマークとカラニック氏の係争が投資協議の懸念材料になっている。しかし関係者によると、ベンチマークは、最終的な契約がカラニック氏を経営首脳に復帰させないと保証し、他のガバナンス(企業統治)改革を明記するなら、取引を阻止するつもりはなく、ウーバーのダラ・コスロシャヒ新CEOの指示があれば持ち株の一部を売却する見通し。
ウーバーとソフトバンク、ベンチマークの3社とカラニック氏のスポークスマンはいずれもコメントを控えた。
(2017/9/28 13:30)