[ トピックス ]

春の新聞週間、各界で活躍する3人に聞く

(2018/4/12 19:00)

 日本新聞協会と全国の会員新聞・通信・放送社は、4月6日の「新聞をヨム日」から12日までの1週間を「春の新聞週間」としている。新生活が始まるこの時期に合わせ、各界で活躍する三人に、活字と触れ合うことの重要性や日ごろの情報収集方法、新聞に対する思いを聞いた。

電子化の時代に重要性増す

ロバート キャンベルさん(日本文学研究者)

  • ロバート キャンベルさん

 情報番組のコメンテーターをしているので、日頃から電子版も活用して複数紙を読み比べている。日本語だけでなく、英語やフランス語、アラブやイスラエルの新聞も読む。米国でも子どもの頃から新聞に親しんでいたが、近年の電子化の進展で新聞は私にとってますます重要なものになった。

 私の専門は日本の近世文学だが、恩師から一つのことを断言するのに、三つの証言がそろうことが目安だと言われた。コメンテーターの仕事も同じで、情報を並べて比較して気付くことがある。

 私たちは自分が心地よく感じる情報ばかりを求め、依存症のようになってしまう傾向がある。自分の神経を逆なでするような「ざらつかせる」記事まで、多角的に読むことも重要じゃないか。

 そもそも私たちはなぜ新聞を読むのか。理由の一つは情報を得て、自分の生活を安定、向上させること。もう一つは、日常に経験できないことを、新聞を通じて追体験し、他者に共感や同情を寄せるためだろう。

 事実関係の確認が複数によってなされた、信頼性ある記事が今ほど求められる時代はない。事実に基づかない共感が積み重なると、暴力や紛争につながることもある。自分の立場や責任、権利を踏まえ、他者に思いを寄せつつ、人々に寄り添う足場となるのが新聞だ。

 とはいえ忙しい日も気分が乗らない日もある。私は週末なら、まず書評面を開くし、1面ではなく社会面の軟らかい記事から読むこともある。次に読むべき本、作りたい料理のレシピ、見たい映画まで、新聞を何げなく〝そぞろ読み〟するだけで、アイデアや言葉が浮かんでくる。それも魅力だ。

■ロバート キャンベル 1957年米ニューヨーク生まれ。専門は日本の近世・近代文学、特に漢文学。85年、九州大に文学部研究生として来日。東京大教授などを経て、17年から国文学研究資料館の館長。テレビの情報番組などでコメンテーターとしても活躍する。著書に「読むことの力」など。

新聞記事が創作の励み

さとうわきこさん(絵本作家)

  • さとうきわこさん

 終戦の年に亡くなった父は全国紙の記者だった。私が育った東京都練馬区の自宅にあった父の本棚には、宮沢賢治の童話や詩集、世界名作選が並んでいた。結核を患い家で休んでいる時間が長かった私のために、父は「注文の多い料理店」などを読み聞かせてくれた。10歳までに言葉や活字に触れ、現実ではない世界に思いを巡らせた経験が絵本作家の原点にある。

 2002年に出版した絵本「しんぶんとだんす」は、3人の子どもたちが風に吹かれて舞ってきた新聞紙3枚と触れ合う物語。子どもの頃に自宅近くのススキの原っぱを新聞紙が舞っていた風景などを思い浮かべながら仕上げた。1990年に長野県岡谷市に開館した「小さな絵本美術館」では、子どもたちが工作などを楽しむワークショップ(体験型講座)を続けている。新聞紙を使って工作したり、貼り絵にしたりする企画があり、子どもたちは、掲載されている記事だけではない、新聞が見せるほかの表情も楽しんでいる。

 インターネットは大量の情報にのみ込まれるような感覚があり、便利さの半面、失うものもある気がする。一方、新聞は広い空間で視点を変えながら絵画を鑑賞するように、高い山のてっぺんから麓を見渡すように、一歩引いたり、考えたり、休んだりしながら情報に接する手段だと思う。

 岡谷市の自宅では新聞3紙を購読している。好きな落語の話題や、家族が「面白いぞ」と教えてくれる地域のニュースに特に目を通している。16年の諏訪大社御柱祭では連日紙面がにぎわい、私も見に行かなくては、と刺激を受けた。絵本美術館で開く企画展や講座の開催を伝える記事を読んで来館する人もおり、励みになっている。

■さとうわきこ 東京都出身。日本児童出版美術家連盟会員。高校卒業後、印刷会社勤務の傍ら、絵本作家として活動を始める。1978年に第1回絵本にっぽん賞受賞。長野県の岡谷市と原村で「小さな絵本美術館」を運営し、国内外の絵本や原画を所蔵、展示している。

眺めることから始めよう

須田亜香里さん(SKE48)

  • 須田亜香里さん

 小さい頃から朝、新聞を開くことが習慣になっていた。しかし、最近は上京することが増え、自宅ではなかなか読めなくなった。だから、紙の新聞と同じ紙面イメージで読める、スマートフォンやタブレット端末向けのサービスを利用し、移動中に読んでいる。見出しや記事の大きさがニュースの重要度を理解するのに役立っている。

 新聞はコミュニケーションのきっかけになる。時事ネタで談笑している人の輪に加われるし、相手が興味を持っていそうだったり、自分がもっと知りたかったりするニュースを話題にして、会話を広げることができる。先日、仮想通貨のニュースについて年上のスタッフに質問したら、丁寧に教えてくれた。新聞で知識を付けてから聞いたので、「ちゃんと知ろうとしているな」と感じてもらえたのだと思う。

 テレビ番組でニュースについて発言する機会が多くなった。無責任な言葉で人を傷つけたくないので、取り上げる事柄はできる限り理解するようにしている。その時、信頼できる新聞が大きな武器であり、味方になっている。

 読んで幸せな気持ちになった新聞記事とその感想を読者から募る「HAPPY NEWS 2017」のゲスト審査員を務めた。新聞記事は堅くて無機質というイメージを持っていたが、心温まる記事をたくさん読んで、だいぶ印象が変わった。どうしたら感動を伝えられるかと、いろいろ考えて書かれていることも知ることができた。

 新聞は大人のアイコン。読み続けることで語彙(ごい)が増えたり、会話の幅が広がったりすることを実感する。形からでもいい。まずは新聞を眺めることから始めようと、特に新社会人や大学生に勧めたい。

■須田亜香里(すだ・あかり) 1991年生まれ。名古屋市出身。2009年からアイドルグループ「SKE48」のメンバー。テレビ番組のコメンテーターや雑誌連載の執筆など多方面で活躍する。著書に「コンプレックス力~なぜ、逆境から這い上がれたのか?~」。

(この記事は新聞PR特集として、日本新聞協会加盟の新聞社・通信社が共同制作しました)

(2018/4/12 19:00)

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