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[ 科学技術・大学 ]
(2018/5/6 07:30)
米航空宇宙局(NASA)は5日、地震探査計を使用した火星の内部構造を調査する探査機「インサイト」を、カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地からユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のアトラス5ロケットで打ち上げた。NASAジェット推進研究所のトム・ホフマンプロジェクトマネージャーは「画期的な調査を行うために火星に戻ることに興奮している」と述べた。
NASAの発表によると、インサイトは約3億マイルの距離を6カ月かけて火星を目指す。順調に行けば11月26日午後3時ごろ火星に着陸し、2020年11月24日まで約2年間の調査を行う。
火星探査の従来のミッションでは、97年のマーズ・パスファインダーや04年の「スピリット」と「オポチュニティ」ロボットを使った地表調査が進んでいる。今回のプロジェクトでは、水素原子よりも小さい表面の動きを検出できる装置を使い、地震波動や振動観測による内部構造の調査がおもな目的となる。インサイトに搭載されたSEIS地震計や熱監視プローブで火星のコアやマントル、地殻構造データを収集するほか、内部の熱量や流れを観測する。同研究所のブルース・バーナード氏は「インサイトは火星をCTスキャンをするようなものだ」と語る。
これに加えて、Xバンド無線トランスポンダーを使った地球とインサイトの信号反射から、その変化「ドップラーシフト」を測定することで、火星の自転の揺れを追跡するという。
NASAの地震探査による惑星構造調査は、過去にもアポロ宇宙船で月面に4つの地震計を持ち込み実験しているほか、70年代後半には火星探査機バイキングでも挑戦している。インサイトプロジェクトによって、地球や火星のような岩石惑星の成り立ちと、進化の解明につながるデータが得られることが期待されている。
Liftoff of InSight(NASAケネディ宇宙センター提供)
InSight Mission to Mars Launch(NASAジェット推進研究所提供)
(2018/5/6 07:30)