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[ 自動車・輸送機 ]
(2018/6/23 07:00)
【ロンドン=時事】欧州航空機大手エアバスは22日までに、英国の欧州連合(EU)離脱交渉が決裂に終わった場合、「英国での足跡の再検討を迫られる」として、英国内での事業を抜本的に見直す可能性があることを明らかにした。同日付の英紙タイムズは「エアバスが英撤退を準備」と報じている。
同社は英国内の25カ所で約1万4000人を雇用。事業の大幅縮小や撤退は、英国の協力企業4000社超の雇用11万人強にも影響が及ぶとみられている。
エアバスは21日の声明で「離脱合意がない場合、英国の航空会社は欧州航空安全局(EASA)などによる現在の規制認証の対象でなくなる」と指摘。ドーバー海峡をまたいだサプライチェーンに支えられているジャストインタイムでの生産体制は存続困難となり、「当社にとっては大惨事だ」と訴えた。
その上で、仮に決裂を免れることができても、英国が来年3月末の離脱後も加盟国並みの待遇を享受できる2020年末までの「移行期間」は「EUと英国が未解決の問題で意見を一致させるには短すぎる」と強調。EUと英国の新たな通商関係が明確になるまで「エアバスは英国内での新規投資に細心の注意を払うとともに、サプライヤー・協力企業の基盤拡張を控える必要がある」としている。
英国とEUの交渉が最終的に決裂すると、移行期間など、これまでの合意内容は全て破棄され、英国は来年3月末にEUの関税同盟と単一市場から脱退することになる。
英与党・保守党内の親EU派は、こうした「最悪の事態」を何としても回避すべきだと主張。交渉が暗礁に乗り上げた場合は議会が政府に対して交渉延長や離脱先送りを指示できるよう、EU離脱法案の修正を試みた。しかし、最終的に与党内で玉虫色の妥協が成立。修正案は20日の下院で否決され、決裂を完全に食い止める法的枠組みは構築されなかった。
(2018/6/23 07:00)