[ オピニオン ]

社説/後継者不足解消の切り札 “跡取り娘”の事業承継を加速

(2018/12/7 05:00)

事業承継する女性経営者を増やすため産学官による支援が一層求められている。後継者不在に伴う中小企業の廃業が相次ぐ中、事業継続するには経営者の親族が対象の親族内承継とともに、親族以外の役員や従業員、M&A(合併・買収)で第三者に引き継ぐ親族外承継が求められる。それでも日本の経営者は圧倒的に男性が多い。2016年4月に女性活躍推進法が施行され、女性起業家の支援などが強化されているが、経済活性化の観点から女性経営者をさらに育成する必要があるだろう。

帝国データバンクがまとめた女性社長比率調査によると、18年4月末時点の女性社長の割合は7・8%にとどまった。

一方興味深いのは同社調査で同族の親族内承継で事業を引き継いだ男女の新任社長の割合を比べると、男性が34・7%だったのに対し、女性は68・7%と男性を上回った点だ。一昔前は家業の承継は息子か、婿養子が一般的だったが、経営者の高齢化や後継者難を背景に親から娘あるいは夫から妻が事業承継する例が増えている表れだ。

この流れを受けて同族経営による女性後継者や後継候補者を支援する動きが出てきた。昭和女子大学ダイバーシティ推進機構は女性事業承継者育成プログラム「“跡取り娘”人材育成コース」を18年10月に開講した。経営専門家や事業を引き継いだ女性経営者、金融機関が協力し、19年3月末までに月1回の計6回講義を行う。

実家が運送業、建材商社などを営む11人が第1期生として参加。参加者から「新事業に挑戦したい」「経営を安定化させたい」などの声が上がっていた。これに対し、同機構の熊平美香キャリアカレッジ学院長は「どういうチャレンジができるかを学んでほしい」と語っていた。

こうした女性による事業承継を一層推進するために地域の産学官が連携して支援に取り組むことが望ましい。同じ悩みを共有できる女性のネットワークづくりを後押しすることも必要だ。支援の成功例を共有し、“跡取り娘”の事業承継を加速してもらいたい。

(2018/12/7 05:00)

総合4のニュース一覧

おすすめコンテンツ

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

シッカリ学べる!3DAモデルを使った「機械製図」の指示・活用方法

シッカリ学べる!3DAモデルを使った「機械製図」の指示・活用方法

技術士第一次試験「建設部門」受験必修キーワード700 第9版

技術士第一次試験「建設部門」受験必修キーワード700 第9版

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン