[ オピニオン ]
(2018/12/28 05:00)
少子・高齢化が進むわが国に求められるのは労働力の減少を補い、かつ生産性を高める手だてだ。これに向けて、人工知能(AI)活用をベースに「人とマシン(機械)が協働する社会」をあるべき姿として見据えたい。
急速に盛り上がっていたAI技術への過剰な期待度はその実態が見えてくるとともに、ようやく一服した感がある。一方でAIを巡っては、「人の仕事を奪う」といった議論がなお尽きないが、世界を見渡すと「AIをいかに活用するか」という段階を迎えている。社会や産業への広がりはこれからが本番だ。
米アクセンチュアのポール・ドーアティ最高技術責任者兼最高イノベーション責任者は「AI革命とは人間の能力を拡張するために業務プロセスを根本的に変えることだ。とりわけ日本は研究開発力や教育の水準が高い上、AIの手足ともいえるロボティクスもあり、AIを使う上でのチャンスは大きい」と指摘する。
同社の試算によると、企業がAIを最大活用した場合と、そうでない場合の2035年の日本の経済成長率は約3倍の開きがあり、各国に比べて圧倒的に大きい。ただ、自らの業務がAIでどのように変わるかのイメージが十分描けず、AI活用のカギとなる新しいスキル習得への取り組みは、日本は世界平均の3分の1程度にとどまった。
従来AI人材といえば、開発者などの「作る人」に焦点が当たっていたが、これからは「使う」立場も加味し「新しい時代に即したスキルを身につける必要がある」(ドーアティ氏)。
AIは営業やマーケティング、保守、研究開発などあらゆる領域で活用が進み、適用分野は一次産業などにも広がっている。問われるスキルも多岐にわたり、「人間とマシンがそれぞれ得意な領域を担当しながら、相互に補完し合うことが不可欠」(同)という。
労働不足や高齢化などの社会課題を解く上でAI活用は避けて通れない。人とマシンの協働を見据えた新しいスキル教育の普及が急がれる。
(2018/12/28 05:00)
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