[ ICT ]
(2019/7/16 11:00)
【シリコンバレー=時事】米交流サイト最大手フェイスブック(FB)幹部が、暗号資産(仮想通貨)の基盤技術を用いたデジタル通貨「リブラ」の計画について「規制上の懸念に完全に対処し、適切な承認を受けるまで発行しない」と米議会で証言することが15日明らかになった。16日の上院銀行委員会に先立ち、責任者デビッド・マーカス氏の冒頭発言の内容が公開された。
FBが2020年の発行を目指すリブラをめぐっては、マネーロンダリング(資金洗浄)対策や金融の安定性に与える影響に関して懸念の声が上がっている。マーカス氏は「法定通貨と競合したり、金融政策の領域に参入したりする意図はない」と表明する。
また「われわれが行動しなければ、価値観が根本的に異なる他の人々によって管理されるデジタル通貨が間もなく出現するかもしれない」と危惧。IT分野で急速な進歩を見せる中国への対抗を念頭に米議会の理解を求める。
米財務長官、FBのリブラは「国家安保上の問題」
【ワシントン=時事】ムニューシン米財務長官は15日、交流サイト最大手の米フェイスブック(FB)が2020年に発行を計画する「リブラ」などのデジタル通貨について、犯罪に悪用される可能性があり「国家安全保障上の問題だ」と強い懸念を表明した。暗号資産(仮想通貨)の基盤技術を用いたリブラには規制対応などで大きな課題があり、実用化までは「かなり遠い」と強調した。
フランスで17、18両日に開かれる先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、暗号資産をめぐる課題が主要議題になる。ムニューシン氏は「金融システムの統合性を維持することが米国の目的だ」と語り、各国と協調して規制のあり方を議論する考えを示した。
ムニューシン氏はホワイトハウスでの記者会見で、デジタル通貨の発行体に対する規制は銀行と同じ競争条件とすべきだと強調。「暗号資産に関わる団体は最も厳しい基準を満たす責務がある」とも述べ、当局の発行認可が早急に出ることに否定的な見方を示した。
リブラをめぐっては、スマートフォンなどを介した決済の利便性やコストなどメリットが指摘されている。世界で20億人を超えるFBのユーザーが使い始めれば、急速に普及する可能性がある。
一方で、マネーロンダリング(資金洗浄)対策を含め、金融規制や監督などが既存の枠組みで対応できないとの問題点もある。米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「重大な懸案を抱えている」と警告。国際通貨基金(IMF)も各国当局に早急な対応を促している。
(2019/7/16 11:00)