産業春秋/伝統工芸を紡ぐ

(2019/11/8 05:00)

江戸時代から400年以上の歴史を持つ有松絞が世界で脚光を浴びている。幕末の独占権解除や戦時統制、着物離れや海外品との競争など幾多の衰退期を乗り越え、絞りの新たな魅力と可能性を発信している。

その原動力となるのが産地復権に立ち上がった若い世代だ。有松絞は名古屋市有松地区の伝統工芸品。藍地に白い凹凸模様の着物やゆかたが有名だが、現代のライフスタイルに適応したカラフルでポップな染めはファッションやインテリアのテキスタイルとして欧米でも人気が高い。

有松絞の特徴的な模様を生み出す“くくり”工程は布をつまんで糸を絞る。1着の着物に10万粒以上もあるくくりは「一人一技法」と言われるほど多彩で、その多くは伝統工芸士が手作業で施す。

代表的な技法のひとつで糸巻き工程を電動機械で行う「機械蜘蛛絞り」の存続では地元の歯車メーカーも一役買った。経営者は「伝統と技術を絶やしてはいけない」と図面も残っていない古い機械を復元した。

9、10日に同地区で「晩秋の有松を楽しむ会」が開かれる。5月に文化庁から「日本遺産」に認定された江戸時代から残る古い町並みを楽しみながら、伝統工芸を次世代へと紡ぐ若者たちの情報発信に期待したい。

(2019/11/8 05:00)

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