社説/中小への公的支援 雇用維持へ早期支給に取り組め

(2020/4/1 05:00)

経済対策で最も重要なのは雇用の維持である。政府も産業界も、総力をあげて迅速に取り組んでもらいたい。

新型コロナウイルス感染症のまん延を阻止するには、人の行動や経済活動の多くを停止しなければならない。経済的損失はリーマン・ショックを上回る見通しだ。日刊工業新聞社が全国の中小企業を対象に実施したアンケートでは、9割の企業が「既に影響が出ている」、「今後、影響が出る」と回答した。資金繰りを支え、倒産を回避し雇用を維持する施策を迅速に行き渡らせるのが喫緊の課題だ。

政府は1日に、解雇をしない場合の雇用調整助成金の助成率を中小企業は90%、大企業は75%に引き上げた。売り上げの減少要件も緩和し、雇用保険に加入しない非正規雇用の労働者も対象に加えた。解雇の抑止に一定の効果はある。制度を周知させるとともに、支給開始が迅速に行えるように体制を整えてもらいたい。

3月17日に受け付けが始まった、実質無利子・無担保融資は、政府系金融機関の窓口に申し込みが殺到し、迅速な融資が受けられない状態となっている。民間金融機関も活用できるようにしていくべきだ。

政府が検討する経済対策第3弾には、仕事を失い生活に困窮する世帯や売り上げ急減に直面する中小・零細企業への給付金制度が考えられている。対象者をどうするかの議論もあるが、自粛要請に対応した飲食店など、一定の要件が証明できれば広範に対象とし、早期に支給して生活の破綻を防ぐべきだ。

中小企業の経営者のなかには、目の前の仕事がなくなり、絶望を感じている人もいるだろう。社員はもっと不安を感じている。政府や自治体が用意する支援策のうち、自社にとって活用できる策を検討し、積極的に申し込もう。

政府や自治体は、支援策を極力わかりやすく説明する努力をしてもらいたい。せっかく設けた制度も必要とする企業に届かなければ意味がない。地域の経済団体も相談窓口を充実させ支えてもらいたい。

(2020/4/1 05:00)

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