社説/鉄鋼各社の生産合理化 痛み伴う改革に不退転で臨め

(2020/4/3 05:00)

鉄鋼各社は雇用や地域経済に目配りしつつも、痛みを伴う構造改革をしっかり断行しなければならない。

国内首位の日本製鉄に続いて2位のJFEスチールも、生産合理化に向けた高炉休止を決めた。東日本製鉄所京浜地区(川崎市川崎区)の第2高炉を、ほかの上工程設備ともども2023年度をめどに休止させ、併せて下工程の熱延設備も休止させる。粗鋼ベースで年400万トンと、全社の13%に相当する生産能力の削減となる。

日本製鉄はこれに先立ち、高炉休止や製鉄所閉鎖を含めて、粗鋼ベースで1割に上る能力削減を打ち出した。

両社が重い決断をした背景には、需要の先細りや、中国勢をはじめとする新興鉄鋼メーカーの存在がある。国内の鉄鋼需要に関してJFEスチールの北野嘉久社長は、人口減少などの影響で「23年度にかけ、年率1%のペースで減っていく」との見通しを示す。

鉄鋼需要を輸入で賄ってきた新興国が、国産化の動きを強める中で、日本の鉄鋼輸出も減る傾向にある。一方では中国勢などの生産能力拡大で、日本の鉄鋼産業は鋼材市況安と原料高の板挟みになり、収益性が顕著に悪化した。

中国や韓国などの新興勢力に比べ、日本の製鉄所には年季が入った設備が多く、更新や改修のための投資が大きな負担になる。需要規模に見合わない生産体制を維持したままでは、収益改善はおぼつかない。稼働率の低下に伴う固定費負担の増大を防いで“出血”を止め、コスト競争力の強化、収益力の回復を急ぐ必要がある。

高炉のように大規模な設備の再編は、雇用や地域経済にも少なからず波紋を起こす。だが、需要が低迷する中で固定費を押し上げている非効率な生産体制を見直さずして、強まる逆風を乗り切るのは難しい。経営の健全性が損なわれれば、需要産業のサプライチェーンにも重大な影響が及ぶ。雇用と地域経済に最大限配慮しつつ、身を削る改革に不退転の決意で取り組まなければならない。

(2020/4/3 05:00)

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