住宅産業/「ステイ・ホーム」を快適に

(2020/7/31 05:00)

業界展望台

ハウスメーカー各社の戦略

新型コロナウイルス感染拡大による自粛生活を経て、消費者の住宅に対するニーズに変化の兆しがある。在宅勤務者が増え、書斎を求める声や子どもを見守りながら仕事ができる環境を求める声が増加。住宅各社はこうした声をいち早く捉え、商品開発や提案営業に生かす。またコロナの第2波の到来も懸念される中、オンライン接客や“バーチャルモデルハウス”に力を入れる企業もある。各社の「ステイ・ホーム」戦略に密着した。

家具の配置や素材に工夫

  • ソファや本棚の置き方を工夫した仕事スペース(積水ハウス)

積水ハウス住生活研究所は消費者の家での過ごし方を調査し、その結果を基に自宅で快適に過ごすためのコツ「ステイ・ホームわが家を幸せにする5つのTIPS(ヒント)」を公表した。在宅期間中、リビング・居間で長く過ごすと答えた人の割合が87・4%と最多だったことを受け、「リビングの家具の配置を工夫することで簡単に仕事スペースはつくれる」(河崎由美子所長)と提案する。

例えば、ソファや本棚などを動かして囲いを設けるだけでも「家族が側にいても互いに集中しやすい環境はつくれる」(同)という。また自分の居場所がないと悩んでいる人にはキッチンや廊下など、どこでも「イスを置いてみるとよい」(同)と説く。トイレの居心地の良さは座る場所があるためで、イスを置くだけでも自分の居場所はつくれるという。

  • 木材を多く使うことでリラックスした仕事環境を実現(住友林業)

住友林業は木造住宅の良さを生かした、仕事がはかどる間取り「木ノイエ・ワーキングスタイル」を考案した。樹木が年輪を重ねることでできる木目模様には独特のリズムがあり、人の心を落ち着かせる効果があると言われる。キッチン横の空いたスペースや、日中は使わない寝室に在宅勤務用の場所を確保し、壁や机、イスに木材をふんだんに使うことで「リラックスした環境で仕事ができる」(住宅・建築事業本部営業推進部)と訴える。

また「木質空間」と「白色壁紙の空間」で不快な画像を見せて感情の変化を測定したところ、「木質空間」の方がより嫌な感情を抑えられる結果が出たという。このため、木材を使った部屋はイライラを緩和する効果が期待でき「在宅勤務で1日中、仕事をしても疲れにくい」(同)と強調する。

  • ダイニング横に設置したカウンターデスク(積水化学工業住宅カンパニー)

積水化学工業の住宅カンパニーは教育クリエイターの陰山英男氏の考えを基にした、子どもが賢く育つ間取り「かげやまモデル」を提案する。「家は知識のふるさと」という陰山氏の考えを家づくりに生かしたもので、家中いろいろな場所に本棚を置く「どこでも本棚」やダイニング横に大きなカウンターデスクを置き、家族に見守られながら学習できる環境などを提案する。

子どもがカウンターデスクで勉強している間、親は料理などの作業をしながら子どもの様子を観察でき、時には親もカウンターデスクで一緒に仕事をしながら、勉強を教えられる。同社は以前から「かげやまモデル」を提案しているが、コロナ禍で「ウェブからの資料請求が約1.5~2倍に増えた」(住宅カンパニーの桝田洋昭氏)という。子育て世代に改めて売り込みたい考えだ。

ウェブ活用、提案・相談対応

  • 旭化成ホームズが公開する「バーチャルモデルルーム」

一方、旭化成ホームズはバーチャルモデルハウスをホームページ(HP)上で公開し、ウェブでの情報発信に力を注ぐ。住宅は「一生に一度」といわれるほどの大きな買い物で、物件見学は欠かせない。だが、コロナの感染を恐れ、リアルの展示場から足が遠のく消費者も多い。そこで仮想現実(VR)を使って実物とほとんど変わらないモデルハウスをHP上で再現し、消費者が少しでもイメージをつかんで購買意欲の向上につなげる戦略だ。

展示しているのは一戸建て住宅「ヘーベルハウス」のうち、間取りを限定デザインの中から選ぶ「マイデッサン」シリーズ。2019年度に発売した比較的新しい商品で、9棟の仮想住宅を公開している。外観や家のデザインなどから気になる建物をクリックすると、VRで360度の間取りを自由に見学できる。

  • 大和ハウス工業はオンライン接客に力を入れる

大和ハウス工業は「オンラインで家づくり」をウェブで提案する。好みのインテリアや間取りを選ぶと、ライフスタイルに合った家を気軽にシミュレーションできる。六つの質問に答えて素早く診断するタイプと、五つの外観デザイン、五つのインテリアスタイル、89の間取りなどからじっくりと選ぶタイプの2種類を用意。自分に合ったシミュレーション方法を選べる。結果を保存して「マイページ」をつくると、実際に土地やローンなどの相談も行える。

このほか、ウェブで近くの住宅展示場を選ぶと、現場の営業担当者が携帯端末を使って歩きながら展示場の中を紹介する「リモート案内」も行う。コロナによる移動制限が解除されても遠隔地に住む人からはリモート案内を望む声もあり、同社はアフターコロナでもオンライン接客を続ける意向だ。

  • オンライン住宅展示場を充実させ、消費者のニーズを捉えた(ポラスグループ)

ポラスグループもすべての展示場やショールームで、ウェブツールを用いた注文住宅などの家づくりに関するオンライン相談を行っている。同グループHP上のフォームから相談の予約を申し込み、同社から送られるURLにアクセスすれば、打ち合わせできる。

千葉県柏市と同船橋市にオープンした自社住宅展示場「体感すまいパーク」などに足を運ぶだけでなく、コロナ禍で増えつつあるオンライン相談に対応。来場する前に家に居ながら気軽に相談できる。

また同グループでは顧客の要望に沿ったフリープランを提案。子どものリビング学習や主婦の作業場などに加え、テレワークの推進に伴って在宅勤務を快適に行うためのワークスペース「家中オフィス」など各種相談に柔軟に対応している。

住宅産業

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(2020/7/31 05:00)

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