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(2020/8/10 05:00)
東南ア文化の橋渡し役に
(総合1から続く)タイの大学を卒業後、大阪大学大学院に進みました。大学時代に得たポリマーの知識と、大学院時代に培った論理的思考やプレゼンテーションスキルなどは今も役立っています。
ライオンに入社して1年目は環境の激変に苦しみました。研究は正確なデータをとって根拠を明確にすればいいのですが、開発はモノを完成させるスピードが求められます。プロジェクトの同時並行は当たり前で、締め切りもあります。今でこそバランスを取れるようになりましたが、当時はショックを受けることの連続でした。
ただ、私はこの変化をポジティブに捉えました。マルチタスクを学ぶよい機会と考え、自分の行動を変えました。その結果、各プロジェクトをしっかり理解し、優先順位を付けられるようになりました。その上で取り入れるのは「Eat That Frog」という概念です。同じ優先度のタスクが多数ある場合、“最も難しい仕事から片付けろ”という意味で、この言葉に従って研究開発に取り組んでいます。
他国向けに歯ブラシを開発する上で、現地のマーケッターや開発担当者との対話も大切です。タイなど東南アジアでは刺激の強い歯磨きペーストや大きなヘッドの歯ブラシが好まれます。文化の違いとライオンの技術を双方に伝え合うのは、言葉が話せて文化を熟知している私の重要な仕事です。
休日は料理とビーズを使ったモノづくりにいそしんでいます。タイの調味料を日本のものに置き換えるなどして、トトライ・アンド・エラーを楽しみます。居心地のよい今にとどまらない情熱を養い、仕事に生かしています。(文=門脇花梨、写真=成田麻珠)
◇ライオン 研究開発本部グローバル開発センター研究員 ピヤパコーン・パッサモンさん
(2020/8/10 05:00)