モノづくり日本会議、トークセッション「アフターコロナにおける製造業企業のDX戦略 ―グローバル潮流と戦略の進め方―」開催

(2020/11/27 05:00)

モノづくり日本会議は、製造業のデジタル変革(DX)を考えるトークセッション「アフターコロナにおける製造業企業のDX戦略 グローバル潮流と戦略の進め方」を開き、13日まで開催したオンライン展示会「スマートファクトリーjapan2020」内で録画配信した。グローバルITベンダーを代表する3社がそろい、これからの製造業のあり方について語った(SAPジャパン、日本IBM、マイクロソフト)。12月1日からアンコール配信する。

ゲストスピーカー

 SAPジャパン インダストリーバリューエンジニアリング統括本部 IoT/IR4ディレクター 村田聡一郎氏

 日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業本部 コグニティブ推進担当パートナー 鈴村敏央氏

 マイクロソフト 製造インダストリーディレクター 濱口猛智氏

 ナビゲーター:フリーアナウンサー 小野木梨衣氏

データつなげ人の介在最小に

村田氏

―新型コロナウイルスの影響は世界に及び、生産現場でもより高い生産性が求められるようになりました。注目されるDX戦略について各社の取り組みを教えて下さい。

村田

 製造やロジスティクスなどに加えて営業や会計、人事なども統合して上流から下流まで一本化して考えるのがインダストリー4・0の基本だと思う。これを日本の製造業の顧客と、さらに進めていく。「デジタル」の対語は「アナログ」というより「フィジカル」(現実世界)ではないか。フィジカルな製造業がデジタルをどう取り入れるかを考える。

鈴村

 DXを実行している企業にとって大切なポイントは、デジタルビジネス戦略を持っていること。そこで「インテリジェント・ワークフロー」を提唱している。新たにビジネスロジックを動的に生み出し、横断的にデータをつなげて人の介在を最小にして、協働的に仕事を進める。

濱口

 コロナ禍でグローバルからいただくリクエストは、まずリモートでどうコラボレーションして生産性を向上させるかということ。その際のセキュリティー強化も期待される。自分の企業内に閉じるのでなく、外部とのコラボレーションを行う事例が非常に増えている。

―そもそもDXとは何でしょうか。

村田

 従来のIT化、IT投資は人が行う前提は変えずに、ところどころにITを投入して部分改善をしてきた。これを抜本的に入れ替えるのがDXだ。

濱口

 データをどう活用するかというところにDXの肝があると思う。顧客満足度のデータを取り続ければ、提供しているサービスが同じように見えても、実は顧客にとって価値が少しずつ変わっていくことがわかる。

鈴村

 デジタルを使って、変化や不確実性に対応するスピードを上げていく。人とITが親和性を持って協働する。勘ではなくてデータを活用する「科学」と「経験」、そして「データ」という新しい「KKD」で不確実性の世界に対応する。

業務変革で目指す姿、徹底議論を

鈴村氏

―コロナ禍でDXに関する企業の意識が高まってきましたね。

村田

 従来のIT投資と何が違うのかと、ITベンダーに突っ込んで聞いていただくのも良いと思う。そこを考えないと同じことの繰り返しになることもありうる。

鈴村

 DXにとって必要なことは、まずやはり経営者の危機感だ。それから製造業の現場で働くリーダーなど事業部門のリーダーシップも大切。そしてDXというバズワードにごまかされてはいけない。どういう業務変革をするためにデジタルを使うのか、徹底的に議論しなければならない。

濱口

 遠隔にある工場に出張ができず、リモートでサポートできないかといった話を多くいただく。今のテクノロジーでできることとできないことがあるが、新しい仕事のやり方を考えるDXの高まりを強く感じる。

―企業は何から取り組んだら良いですか。

濱口

 具体的な目標の与え方が大事だ。例えば、あるアジアの製造企業で、5年かけて工場で働く人を10%にするという目標を設けた。残りの90%の人たちに、デジタルにシフトするためのトレーニングを提供したことで、モチベーションが上がっている。

村田

 フィジカルとデジタルの違いを理解しなければならない。違うからにはデジタルにとって良いやり方を取らないと、自分のために働いてくれない。そこを経営者に理解してもらいたい。デジタルは初期のコストはかかるが、いったんセットアップが終わると、その後は基本的にタダで無限に働き続ける。良い悪いではなく、デジタルが得意なところを人間がやっても勝ち目はない。

鈴村

 デジタルの使い方を決めるのは人間で、ちょっとした使い方の改善では、大きな生産性や価値の向上にはつながらない。使いこなしたら業務が良くなるというロードマップというか大きな絵を描き、かつ危機感を醸成することが大切だ。やはり海外の顧客の方が大きな絵を描いていると感じる。

濱口氏

村田

 まだ日本企業は、部門ごとの調整を人間がやっているケースが多い。

―近い将来の日本や世界の企業活動はどう変わるでしょうか。

鈴村

 日本の製造業も、ソフトの部分の武器を強めていくだろう。人とデジタルの境目がなくなり、ソフトでの改善が違和感なくなされていく世界観になっていく。逆にいうと、その世界観に慣れないと、デジタルに遅れて競争優位を失ってしまう。また、グローバル化はさらに進むので、広がったサプライチェーンやバリューチェーンを管理できるITが必要だ。

濱口

 距離や時間の壁は越えられる。デジタルを使うことで、さまざまな人とつながりやすくして、コミュニケーションもちゃんとできるようにする。

村田

 製造業に限らず日本の企業は、人とデジタルが得意なところを分担しているという海外企業の姿をキャッチアップできれば、大きな伸びしろが残っているはずだ。

(2020/11/27 05:00)

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