社説/緊急事態宣言再発出を検討 実効ある対策で命と暮らし守れ

(2021/1/5 05:00)

新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動の両立へ真の正念場だ。施策を集中させ命と暮らしを守ってもらいたい。

菅義偉首相は4日の年頭記者会見で、東京都と埼玉、千葉、神奈川3県に対し、特別措置法に基づく緊急事態宣言の再発出を検討すると表明した。

新規感染者数が連日3000人を超え、その約半数が首都圏に集中している。4都県の知事からも発出要請が出されており、政府として発出に踏み切ることはやむをえまい。

感染防止に効果のある対策をピンポイントに打つことが重要だ。2020年春には、学校や商業施設などが広範囲に休業した。その結果4―6月の実質国内総生産(GDP)は、年率換算で前期比29・2%減と戦後最悪に落ち込んだ。同じ状況に陥るのは何としても回避したい。

我々は過去10カ月間で感染リスクの高い行動について、さまざまな知見を得た。リスクが高いのは、大人数、長時間の飲食やマスクなしの会話、狭い空間での共同生活などである。

今後緊急事態宣言が再発出されても、国民生活や経済活動を大幅に制限するのではなく、効果を見極めた限定的な対応とすべきだ。具体的には飲食店の時短営業などが対象となろう。

政府は次期通常国会に特措法改正案を提出する。給付金と罰則をセットにし、休業措置をより実効性のあるものとする。与野党が協力して早期の成立、施行を求めたい。

根本的な課題は医療の逼迫(ひっぱく)をいかに回避するかだ。日本は欧米諸国と比べて感染者数、重症者数ともケタ違いに少ないにもかかわらず、医療現場が逼迫するのはなぜなのか。コロナ患者を受け入れる病院だけでなく、国内すべての医療体制を把握し、緊急事態が起こった際に機動的に医療資源を再配分するような対応も検討すべきだ。

経済活動が停止すれば、影響は長期に国民生活に及ぶ。自殺者が増える状況は看過できない。政府は緊急事態宣言の再発出時に、国民が自発的に行動変容するよう、丁寧に説明し理解を得る努力をしてもらいたい。

(2021/1/5 05:00)

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