社説/1都3県に緊急事態宣言 短期集中で抑制の成果示せ

(2021/1/8 05:00)

早期の感染抑制には、国民一人ひとりの行動変容が欠かせない。苦境に立つ外食関連産業を救うことにもつながる。

菅義偉首相は7日、新型コロナウイルス感染の急拡大を受け、1都3県に特別措置法に基づく緊急事態宣言を出した。期間は2月7日まで。

今回は昨年春のような広範囲の休業要請は行わず、感染リスクが高い飲食店に対策を集中させる。20時までの時短営業を要請し、協力金も増額する。同時に政令を改正し要請に応じない店舗名を公表する措置も講じる。企業には出勤者の7割削減、住民には20時以降の不要不急の外出自粛を求める。

飲食店に的を絞る対応では手ぬるいとの批判もあるが、経済活動を極力止めずに感染を抑制するギリギリの線を狙う政府の方針を支持したい。そのためにも各自が自分の行動を見直し、感染リスクを軽減する知恵を見いだし実践してほしい。

個人も企業も、まず最初の2週間が重要だ。やれる限りの対策を実施し、そこで感染拡大に歯止めがかかれば、1カ月後の宣言解除にも道が開ける。

抑制に失敗すれば期間は延び、全国にも宣言発出が波及する事態も起こる。経済への打撃は計り知れず、コロナによる死者を大幅に上回る経済的理由による死者も出かねない。

飲食店や関連業種にとって厳しい冬となるのは間違いない。店舗ごとに月額180万円に増額する協力金も、席数や従業員の多い大型店には焼け石に水だろう。規模に応じた支援があれば安心して時短に応じられる。公平で納得感のある給付のあり方を早急に検討すべきだ。

コロナ患者を受け入れる医療現場の逼迫(ひっぱく)回避には、民間病院の協力が不可欠な状況だ。経済的な理由で躊躇(ちゅうちょ)する病院に、補正予算で措置した予備費を活用し、受け入れを促してもらいたい。将来的には緊急時に医療資源を機動的に配分する仕組みも考えるべきだろう。

これらの課題を踏まえ、次期通常国会に提出される特措法改正案は、より実効性のある感染症対策となることを望みたい。

(2021/1/8 05:00)

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