産業春秋／富士山の日

東海道新幹線に乗車する時は、いつも２人並びの窓側「Ｅ」の座席を予約する。Ｅ席に座るのはもちろん富士山を見たいから。特に１、２月は晴天であれば、雪をかぶった美しい姿が見られる。

下りなら新横浜駅を発車してすぐに、遠くに富士山の姿が見える。その日の見え方を確認し、三島駅を通過したころからそわそわして雄姿が現れるのを待つ。山頂までくっきり見えた日は得したような気分になれる。

きょうは「富士山の日」。静岡、山梨両県が条例で制定した。昨年から２月２３日は「天皇誕生日」なので必ず祝日になる。天皇陛下と富士山。図らずも日本の象徴を記念する日になった。

そしてこの日に、新たな歴史を刻み始める取り組みがある。トヨタ自動車が静岡県裾野市の工場跡地に、近未来型実験都市「ウーブンシティ」建設へくわ入れ式を行う。常に新たな試みを行うので完成時期はないとのことだが、近い将来、自動運転や空飛ぶ車が行き交い、環境と調和した未来社会を感じられるものとなりそう。

街づくりにはすでに多くのパートナーが協業を申し出ている。富士山に見守られながら、暮らしを便利で快適にする日本発の技術が生み出されるのを待ちたい。