社説/荒廃農地での再エネ発電 営農と調和できる規制緩和を

(2021/3/16 05:00)

「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、荒廃農地などへの再生可能エネルギー発電導入を加速したい。

農林水産省によると、農業利用が難しい荒廃農地は約28万ヘクタール(19年)。作付けされずに放置された耕作放棄地は約42万ヘクタール(15年)に上り、富山県の面積に匹敵する。農業従事者の高齢化や減少で増加を続ける。

農水省は地域活性化のため13年に農山漁村再生可能エネルギー法を整備し、農地での再エネ導入を進めてきた。市町村が食料生産や国土保全に支障がないように基本計画を作成し、事業者は計画に沿って整備計画をつくり市町村に提出する。

認定されれば、特例として第1種農地でも太陽光発電設備などを設置できる。だが基本計画を作成した市町村は68(20年3月末)にとどまる。

脱炭素社会の実現には太陽光や風力などの再エネ導入量を最大限拡大する必要がある。導入量が増えれば太陽光と風力の相互補完関係が強まり、出力変動の抑制にも寄与する。

再生が困難な荒廃農地は国土の有効利用の観点からも活用しない手はない。農水省は農山漁村地域での再エネ発電による電気・熱収入などの目標を23年度600億円(19年度372億円)に設定しているが、大幅な積み増しを期待する。

導入促進には荒廃農地を非農地にする簡素な仕組みを導入すべきだ。再生可能な耕作放棄地は地域経済振興や防災力向上など総合的な視点から、市町村長が再エネ利用の可否を迅速に判断できるようにしたい。

単収が地域平均の2割以上減少してはならないという営農型太陽光発電の条件も緩和できないか。売電収入で農家の経営を下支えできれば、若者の就農促進につながる可能性がある。

一方で発電が主体になり農地の荒廃を招いては本末転倒になる。日本の食料自給率は半世紀で半減し、38%まで低下している。異常気象や感染症の世界的流行で食料輸入が滞るリスクは高まる。食料安全保障の土台が揺らがないよう、営農と調和のとれた規制緩和を進めたい。

(2021/3/16 05:00)

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