産業春秋／確定申告

もう確定申告は済まされただろうか。２０２０年分の申告はコロナ禍での“密”の回避を目的に、前年に続いて期限が１カ月間延長されている。

医療費などの還付が目的の方は早めに申告。逆に納付が多い個人事業者は、手元資金確保のためにゆっくり申告するようだ。知人の税理士は「余裕があるのは結構だが、何年も続くと納税者の領収証整理や記帳習慣がおろそかになりそう」と渋い顔。

２０年の申告の特色は、なんと言っても新設された「業務に係る雑所得」だ。国税庁は「副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なもの」を「業務」に区分するよう説明している。副業が納税面でも公認されたわけだ。

働き方の変化に先手を打った国税庁の“機敏さ”をほめるべきか。とはいえ副業は後ろめたいものなのか会社員で「業務」の申告を使ったという声を寡聞にして知らない。

毎年ウェブ上に開設する「作成コーナー」は改良を重ね、いまや確定申告をする人の半数近くが利用する。そのうち１割はスマートフォンだという。副業が広がれば、さらに利用者が増えるはず。納税者のストレスを減らす意味でも、使いやすい仕組みをお願いしたい。申告期限は４月１５日まで。