社説/「21年版ものづくり白書」 産業界の指針になる存在であれ

(2021/5/31 05:00)

モノづくり振興に向けた政府のリーダーシップを、もう少し前面に出せないものか。

政府の2021年版「ものづくり白書」は、製造業における「ニューノーマル」を、持続性、環境対応、デジタル化の3点から分析した。総論としては、新型コロナウイルスによる打撃から製造業の設備投資額は減少、今後も控える傾向にある。またコロナ以外にも多くの外的要因が製造業の事業判断に影響を及ぼすと考えられており、それを事前に予想することは難しいとしている。

特にサプライチェーンの面では、自然災害によって供給に支障が出るケースが相次いだ。事業継続計画(BCP)を策定する企業は増えているが、調達先の把握は多くの企業で東日本大震災以降も進展していないことを指摘。今後は危機の内容の違いに左右されずに事業を着実に継続していくための「オールハザード型」のBCPが必要だと強調した。

もっともな分析である。しかし自力でそうした取り組みが可能な企業が、果たしてどれだけあるだろう。

例えば白書では、半導体サプライチェーン構築に向けた欧米政府の動向や、米・中・欧が輸出管理等の措置を強化していることを紹介。「万全の備えをしておくことが重要」と呼びかけている。では日本政府は、自国の産業を守るためにどんな施策を進めているのか。指針になるものを示すべきではないか。

モノづくり企業が、自由競争を土台に技術力や価格競争力で世界市場を切り開いていくだけの時代はすでに終わった。産業界は多国間の経済連携関係やグリーン化の要請など、いくつもの制約の中で事業展開を強いられている。

むろん白書を担当する経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省だけではできないこともあろう。しかし国同士が産業振興を競争する現代にあって、わが国の産業政策は見劣りしていないか。今後の白書が政府の考え方を明確に示し、より産業界の指針となる存在であることを期待したい。

(2021/5/31 05:00)

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