研究開発と社会 顧客との対話による価値創出の取り組み ―東芝のミッション―【PR】

(2021/9/27 15:00)

 東芝は複雑化する社会課題の解決に向けて対話共創重視の研究開発を推進する。60年前に設立された中央研究所を源流とする研究開発センター(川崎市幸区)が中心となり、確かな技術力と対話力を通じて「成長の種」を創出・育成している。そして、インフラの構築・運用、そこから生まれるデータから価値を創出する“インフラサービスカンパニー”として世界への貢献を目指す。そのひとつが、地球規模で深刻な社会課題となるカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現だ。今こそ東芝の存在価値をあらためて示す絶好の機会となる。

オープン・リサーチ&イノベーション

  • 執行役員 研究開発センター所長 佐田豊博士

 東芝の研究開発センターは昨今重要性の高まるサイバーセキュリティや人工知能(AI)を含む幅広い技術分野に対応すべく、4研究所・2技術センター体制を敷く。そして「オープン・リサーチ&イノベーション」を基本方針に掲げ、パートナー・顧客や社内の事業部門との対話共創に重きを置く。

 執行役員研究開発センター所長の佐田豊博士は「イノベーションの確度を高めるために社会や顧客との対話を重視している。良い技術をつくれば、関心を持ってくれる人が近寄ってきて、事業化が加速し思わぬアプリケーションを発見できることがある。我々は現在、このような対話を誘発するために技術広報に力を入れている」と語る。

 他にも対話促進へさまざまな仕掛けを用意している。以前からの展示会出展や技術広報、ピッチ、論文発表などに加えて、2021年3月に研究開発センターとして初めて社外向け展示会を開催した。重要顧客との交流を主な目的として、より緊密な対話を通して新たな課題発見につなげる試みだ。佐田氏は「限定した200社弱の顧客にお声がけしてオンラインで実施した。当初の想定より関心が高く、共同実証に発展しそうな案件が相当な数出てきた」と喜ぶ。

 また、世界五大陸の若手社会イノベーターが協働・共創するプラットフォーム「4Revs」に参画し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる「食糧・農業」「資源・生態系」「水」「エネルギー・気候・環境」の4領域についてケース研究や研究会開催、事例共有などで協働している。

技術交流・意見交換でコミュニケーション活性化

  • SCiB

 東芝は成長の種の創出を加速させる社内の文化風土醸成にも注力する。予算・時間の10%を研究者の自由裁量で使える制度「アンダー・ザ・テーブル」は30年以上の歴史を誇る。成果の一例を挙げるなら、近年、自動車や鉄道車両への採用が増えている独自のリチウムイオン二次電池「SCiB」がその代表格だ。

 令和元年度全国発明表彰「内閣総理大臣賞」も受賞した高見則雄博士が自動車の電動化の方向性と電池技術の独自性を信じて、会社として二次電池事業から撤退した後も研究開発を続けた。佐田氏は「高見さんは『SCiBのオリジナルのコンセプトに可能性がある』と訴えて、当時の上司が彼の情熱に賭けた。たった1年間で非常に大きな成果を出し、2年目には社内でも認知されて事業化の動きが始まった」と振り返る。結果として、急速充電可能で安全・長寿命な二次電池の事業化に成功した。

 アンダー・ザ・テーブル以外には、年2回のポスター発表会という研究テーマを披露する場を設けていて、大変盛況だ。参加資格に制約はなく、新人から本社の技術役員まで幅広くフラットに参加し、上司の確認・承認も不要で、発表内容も自由だという。研究者同士の技術交流・幹部との意見交換を目的とした発表以外にも、業務改善に関する提案などもあり、所内のコミュニケーション活性化を狙う。

カーボンニュートラル実現に向けた成果

  • 研究企画統括部 菅野義経博士

 研究企画統括部企画部主務の菅野義経博士は「毎回30-40件の発表があり、今はオンラインで500人ぐらいが参加する。研究者がアンダー・ザ・テーブル的な取り組みを発表する場でもあり、参加者投票で注目が集まったテーマは、所長ら幹部との対話を通じて新たなテーマとして採用されることもある。対面での会話が難しい昨今においては、今まで以上に所内イベントとして重要な役割を担っている」とイベント内容を説明する。

 ポスター発表会を対話の場として活用してきたテーマで、最近の「出世頭」はタンデム太陽電池だ。発電効率と低コストを両立できる次世代太陽電池は自動車やロボット、小売店舗での採用を想定し、特にコスト意識が強く電動化の大きく進む自動車向けが有望と見る。

 社会課題解決を志向する中、世界中で注目されるカーボンニュートラルの実現に向けた成果も多く生み出している。上記タンデム太陽電池とともに期待するフィルム型ペロブスカイト太陽電池は建物の壁面や屋上などに設置でき、都市部での再生可能エネルギー導入・拡大につながりそうだ。

  • ナノ材料・フロンティア研究所 トランスデューサー技術ラボラトリー室長 水口浩司博士

 ほかには二酸化炭素(CO2)を再生エネでジェット燃料や化学品の原料に変換する技術「Power to Chemicals(P2C)」も20年末に石油元売りや航空会社などとコンソーシアムを立ち上げ、排ガスをジェット燃料に再利用するカーボンリサイクル事業化の検討を進めている。

 ナノ材料・フロンティア研究所トランスデューサ技術ラボラトリー室長の水口浩司博士は「P2Cは研究開発の段階では、変換効率競争に陥っていた。ただ、この技術を使って実際のプラントを設計してみると、顧客から『規模が大きすぎて話にならない』との声があり、対話が生まれた。よりコンパクトなシステム設計に変えたら反響があり、最終的に6社のコンソーシアムにつながった」と対話の成果を語る。

社会課題を解決する研究所へ

 東芝は研究開発センターのある小向事業所内に「研究開発新棟(仮称)」を建設する。約340億円かけて、23年度中の稼働を予定。新たな先端技術のランドマークと位置づけ、対話共創機能を強化して東芝グループのイノベーションを主導していく一大計画が進行している。インフラサービスカンパニーへの変革を加速する研究開発新棟として、期待されている。

(株)東芝 WEBサイトはこちら

https://www.global.toshiba/jp/top.html

(2021/9/27 15:00)

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