(2021/11/17 05:00)
世界が温室効果ガス排出削減に取り組む合意はなされた。次は具体的な行動が問われる。
英グラスゴーで開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が閉幕した。合意内容をまとめた成果文書に「世界の気温上昇を1・5度に抑える努力を追求する」と明記した。これまでの2度より踏み込んだ表現だ。
石炭火力発電を巡っては、当初案の「段階的な廃止」がインドなどの反対で「段階的な削減」となった。一部には廃止に持ち込めなかったことを“後退”と訴える声も上がったが、削減に取り組む機運はできた。
温室効果ガス削減量の国際取引を規定したパリ協定第6条について、ルール整備がなされたことも成果と言える。日本が期待した過去の二国間取引による削減実績は、2013年以降に限定されるが、目標達成に活用できる仕組みはできた。
また、メタンを30年までに3割削減することに日本を含む100カ国以上が合意。森林破壊を30年までに停止することに140カ国以上が合意したことにも意味はある。
一方で途上国が強く求めた先進国が20年までに1000億ドルを資金支援することが未達だったことに「深い遺憾」を表明し、今後具体策を話し合う場を創設することを決めた。
日本は岸田文雄首相がアジアでの排出削減に資金支援し先導的な役割を果たすことを表明した。化石燃料が必要なアジア諸国に排出ゼロ技術を提供する現実的な貢献策だ。
参加国の全会一致を原則とする国際会議の場で、すべての国が満足する結果を導くことは困難である。しかし、中国に続きインドやロシアが脱炭素へ具体的な年限を表明したことは一歩前進と捉えるべきだ。
欧州などが求める強い規制的措置だけでは、途上国の賛同は得られない。必要なのは、排出削減に向かう具体的な行動である。日本は改めて国内の排出削減対策に取り組むとともに、海外とりわけアジア各国の排出削減に協力し、具体的な成果を示してもらいたい。
(2021/11/17 05:00)
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