2021年 第64回十大新製品賞

(2022/1/4 05:00)

増田賞

オークマ/脱炭素・高能率生産対応横形マシニングセンタ MA―8000H

 同社は非加工時の自律的な冷却停止、消費電力の見える化などの省エネルギーシステムを14年から工作機械の標準仕様としてきた。これを刷新し高度化した「エコ・スイート・プラス」を搭載。二酸化炭素(CO2)の排出量分析、加工準備・保全を含む全シーンでの無駄な冷却の停止、ミストコレクターの効率運転などの機能を追加した。社内で30%のCO2削減を実証済みだ。

 本体は主軸50番で重切削から仕上げまで対応できる。パレットが800ミリメートル角と広く、再生可能エネルギー関連機器や電気自動車(EV)の部品加工に適している。切り粉清掃が長期間不要なタンク、人工知能(AI)での工具欠損防止などで生産性も高めた。

本賞

アイダエンジニアリング/進化型タフ&スマートプレス DSF―N2―4000A

 独自の人工知能(AI)開発やフレーム構造の改良など、随所に業界初の技術を採用。成形品の形状複雑化や、それに伴うプレス加工の工程数の増加に適した機種に仕上げた。

 従来機と同じフレーム外幅を維持しつつスライドの左右寸法を従来比23%増とし、複雑形状の成形品に対応可能。ストローク数も同67%増としたほか、フレームの伸びを均一化するなどし、動的精度と剛性の向上も実現した。

 また、運転状態の監視機能や予防保全機能をAI化し、操作や運用、保守がしやすい構成とした。3次元(3D)モデルの機械の画像上に温度や流量の情報を異常情報とともに表示でき、熟練者に頼らずに迅速な復旧対応が可能となる。

本賞

アマダ/アマダマシナリー/デジタルプロファイル研削盤 DPG―150(フルカバー+Robot仕様)

 プロファイル研削盤では業界初となるデジタルプロジェクターを搭載した。これにより従来、作業者が行っていた精度計測と補正加工を自動化した。チャート作図が不要で、専用機器や工数などのコスト削減とともに作業時間も従来比10%短縮可能。指先での直感的な操作方式を採用し、最大400倍のデジタルルーペを標準搭載する。

 また、独自の画像処理ソフト技術活用により、加工対象物(ワーク)形状の高精度計測、段取り時間ロスの大幅低減、加工品質の均一化を実現した。

 これらの技術を採用することで、高度な熟練技能を要したこの種の加工を非熟練者でも容易に行えるようにした。加工時間も従来比20%短縮を実現した。

本賞

SMC/ベルヌーイグリッパ ZNC

 真空パッドでは吸着しにくい薄布や気泡緩衝材、基板、紙などの搬送を可能にする。空気を放出するノズルを最適化することで、従来機と比べ最大でリフト力を3―5・7倍向上した。

 「ベルヌーイの定理」は流体力学の用語で、流速が上がると圧力が下がる現象を指す。同製品はこの現象を応用する。グリッパに送られた圧縮空気がノズルから噴出されることで、グリッパと加工対象物(ワーク)の間に真空のようなエリアを発生させる。非接触でワークとグリッパが吸着し、凹凸があったり、機密性が確保できなかったりする素材でも吸着搬送できる。

 製品はアルミニウムとキズが付きにくい樹脂、さびにくいステンレスの3種類の材質を用意する。

本賞

川崎重工業/AI搭載資源選別支援システム「K―Repros」

 廃棄物処理施設向けに、人工知能(AI)や人との協働ロボットを組み合わせた作業支援システムを実用化した。カメラで撮影した瓶の画像データから、AIが色や形状の違いを認識し、双腕スカラロボットが安全に配慮した動作速度で瓶を吸着しながら選別する。形状や大きさ、向きに関係なく、対象の瓶を持ち上げることができる。AIの識別正答率がライン上での実証で99%以上という。

 ロボットを移動できるためレイアウトの自由度が高く、作業者の間に設置して協働作業が可能。時間当たりの処理能力が、人手と比べて50%程度確保できることも確認した。ロボットによる作業に変更することで、人的資源を重要な現場に投入しやすくする。

本賞

ソディック/金属3Dプリンタ LPM325S

 金属粉末の供給・回収・ふるい作業を自動で行う独自ユニットを標準搭載した。従来2日を要していたこれらの作業を2時間以内で完了でき、複数の粉末を使う場合でも1台で対応可能。交換作業は、粉末ごとのユニットを付け替えるだけで簡単に行える。

 加工時に発生する金属蒸気の集積物(ヒューム)を回収するヒュームコレクターを改良。ヒュームを溜まりにくくし、回収頻度を従来比半減できるほか、メンテナンス作業時間も大幅に短縮できる。

 また、造形状態や各部状態の常時監視が可能だ。各データはNC画面でグラフ化やロギング、エラーの閾値管理を行うことで、造形異常の原因となる要因を監視し、造形不良を未然に防げる。

本賞

大昭和精機/動的振れ測定装置/振れ調整ホルダ 「Dyna ZERO SYSTEM」

 高速回転中の切削工具の刃先振れ精度を1マイクロメートル以下に調整できるシステム。同測定器「Dyna ZERO Vision」と同ホルダー「Dyna ZERO Chuck」などで構成。マシニングセンター(MC)内に設置する。

 「ストロボ効果」を応用し、高速回転する工具を疑似低速化して撮像することで、高精度に動的振れを測定する。動的振れ測定は業界初。ホルダーは最大6マイクロメートルの振れを調整できる機能を持つ。

 ストロボ効果でエンドミルなど工具各刃のR形状など高速回転中の摩耗状態を把握。チップ式工具などは刃先高さのバラつき具合も確認する。半導体製造装置部品や光学部品金型の鏡面加工など精密切削加工に対応する。

本賞

ダイヘン/真空環境用ウエハ高速搬送ロボット 「UT―VDW3000」

 真空環境下で世界最速レベルの高速搬送を実現した半導体ウエハー搬送ロボット。半導体製造装置の真空装置内部に搭載する。生産性向上につながり、世界的課題の半導体不足解消に貢献できる。

 1時間あたりウエハー処理枚数は同社従来品比30%向上の650枚の搬送を実現した。半導体製造装置の台数を増やさず、処理枚数を拡大できる。高速動作になればウエハーは振動で位置ずれの可能性が高まるが、ロボットのアーム軸、旋回軸にダイレクトドライブモーターを搭載し振動を抑制。ハンド上のウエハー滑りも抑えた。

 アーム駆動にスチールベルトを採用しバックラッシュ(がたつき)要素をなくし、軌跡精度とウエハー位置決め精度も向上した。

本賞

ファナック/FANUC ROBOCUT α―CiCシリーズ

 高い加工性能と稼働率に加え、使い易さを追求したワイヤ放電加工機。電気自動車(EV)や半導体製造装置向けの高精度金型の加工に最適。高速で安定した生産を可能にする。XY軸ストロークが400ミリ×300ミリメートルの「α―C400iC」と、同600ミリ×400ミリメートルの「同C600iC」を展開する。

 機械構造を20年ぶりに見直し剛性を強化した。FEM解析を駆使し、数十種類の鋳物の最適形状を導き出した。電装部の改良や最新の放電制御も採用。直流電源の電圧範囲を低電圧方向に拡大するなどし、微細な放電パルスを高頻度で投入可能になった。制御方法も仕上げ加工の軸送り制御を刷新し、ワークの除去効率向上と放電ギャップの安定を実現する。

本賞

不二越/組立自動化ソリューション「コネクタ挿入アプリケーション」

 独自のアルゴリズムを採用した視覚制御技術により電機・電子製品のケーブル挿入作業を自動化する。今後、台数の増加が見込めるスマートフォンや車載ディスプレーなどで使われるフレキシブルプリント基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)の挿入作業を高速・高精度で行う。

 ロボットアーム先端に取り付けた左右のカメラと視覚センサーでFPCなどの対象物とコネクターなどの目標物を認識。3次元で位置を把握した上で独自の視覚システムで対象物と目標物の移動ルートを自動計算する。

 力センサーなどを併用する必要がなく、コネクターの挿入作業を1カ所あたり最速7秒で完了。幅5―41ミリメートルまでの広範囲のコネクタサイズに対応する。

本賞

安川電機/ACサーボドライブ Σ―Xシリーズ

 従来製品に比べ高機能と高性能化を実現し、センシングデータの活用機能も持つ。サーボドライブの速度応答周波数は3・5キロヘルツで、サーボモーターの最高回転速度は毎分7000回転。モーター1回転当たりの分解能は業界最高レベルの従来比4倍の26ビット(6700万パルス)のエンコーダーを搭載する。タクトタイム短縮と制御精度を向上する。

 サーボモーターをセンサーとして活用することで、多様な装置からデータを取得することが可能になる。設備や装置の予防保全、生産品質向上を実現する。センサーネットワーク「シグマ―リンクⅡ」を通じて、エンコーダ信号線に各種センサーなどの機器を接続可能。同一時間軸のデータを収集できる。

日本力(にっぽんぶらんど)賞

日本電子/電子ビーム金属3Dプリンター JAM―5200EBM

 金属粉末を電子ビームで溶融して積層造形するパウダーベット方式で、電子ビームの最大出力は6キロワット。電子を発生させる陰極(カソード)寿命で1500時間以上を実現し、交換のダウンタイムを大幅に短縮、生産性が向上する。独自の粉末飛散防止機構「e―Shield」を備え、電子ビームの金属照射時に使う飛散防止のためのヘリウムガスが不要だ。低コスト・クリーンな真空中で高い造形品質を実現した。電子顕微鏡や半導体製造用電子ビーム描画装置で培った技術を応用。造形エリア内で電子ビームの照射位置が変わっても焦点や形状の歪みを自動で計測・補正する。また、造形の進ちょく装置状況をモバイル端末で確認できる遠隔監視機能も持つ。

日本力(にっぽんぶらんど)賞

日立製作所/日立ビルシステム/日立 標準型エレベーター「アーバンエース HF」

 日立製作所と日立ビルシステム(東京都千代田区)が国内向けで7年ぶりに刷新した標準型エレベーター「アーバンエース HF」は機能美を追求したデザインを採用した。日本を代表する世界的なプロダクトデザイナーの深沢直人氏監修で統一感のある色調や凹凸の少ないかご内空間、視認性の高いボタンを取り入れた。基本仕様で2系統の意匠デザインをそろえる。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う衛生意識の高まりにも対応。かご内の換気や空気清浄を行う「かご内クリーン運転」、密集度に応じて注意喚起する「密集回避運転」、センサーを活用して直接ボタンに触れずに呼び出し・行き先階登録が可能な「非接触登録装置」の機能を備える。

モノづくり賞

国際計測器/鉄道車輪粘着力測定装置

 鉄道車輪と線路の関係で、自動車タイヤが路面との摩擦で得るグリップ力に当たる粘着力を高精度に測定する。レールを模した軌条輪と被試験車輪に回転を与え、車輪に輪重負荷をかけて軌条輪に接触させ測定する。軌条輪と車輪は一つのサーボモーターで同一回転しており、その機構の中に、車輪側の回転を制御する「すべり率制御装置」を組み込んだ。同装置はすべり率0・01%以下まで制御が可能で、駆動・停止時の粘着力を測定する。車両の挙動研究や車輪研磨後の粘着力把握、車輪・線路の素材研究に生かせる。軌条輪・車輪間に水などを噴霧し、ウエット時を再現した測定にも対応。ドライ・ウエット時のすべり率に対する接線力係数をグラフ化して表示できる。

モノづくり賞

新日本工機/門型5軸マシニングセンタ RB―FⅡシリーズ

 高剛性の門型5軸マシニングセンター(MC)。最大6600ニュートンメートルの旋回トルクワットを有した高剛性連続5軸ヘッドにより、難削材の連続加工が可能。X・Y・Z軸駆動にはリニアガイドを採用し、前シリーズから全軸早送り速度を1・5倍以上高め、大幅な高速化を実現。

 主軸頭はカートリッジ式で6種類の主軸を選択できる。新開発の1万2000回転主軸は高速仕様ながら最大420ニュートンメートルの切削トルクを発揮する。「かんたん傾斜面加工機能」を標準搭載し、難解な測定や計算を使わずに傾斜面加工が可能。本シリーズからはデュアルディスプレーも導入した。サブ画面でガイダンス表示し、容易に斜面上の芯出しを行うことができる。

モノづくり賞

TKR/歯科用3Dプリンター SPACE ART MS―125M

 レーザー距離を工夫し、歯科技工物サイズの造形が可能な樹脂用3Dプリンター。半導体レーザーで光硬化性樹脂を積層する。歯科医療での需要を見込み、従来比6倍超の幅125・6ミリ×奥行き68・8ミリ×高さ130ミリメートルまでのサイズを造形できる。人工歯を植立するための義歯床やブリッジを支える支台歯なども作製できる。

 造形したキャスタブルレジンから型を取り、チタンやコバルトクロムなどの歯科技工物の鋳造も可能。3Dプリンター機能のほか電子回路パターン形成にも利用でき1台2役をこなす。電子回路は曲面でも形成可能。コンタクトレンズに電子回路やセンサーを搭載し、体調をモニタリングする医療機器などへの応用も視野に入れる。

モノづくり賞

ユアサ商事/マイクロファインバブル「バブパワー」(YBP―A1/YBP―A2/YBP―B)

 水溶性クーラント(切削液)装置向けのマイクロファインバブル(MFB)発生器。MFB発生機構の内部を切削液が一定の水圧で通過する際に旋回流を起こし、液中に含まれる約2%の酸素を微細バブル化する「キャビテーション方式」を採用。外気を使わずにMFBを生成し、液の酸化を防げる。

 MFBが消滅する際に発生する活性酸素の消毒機能により、クーラント液の劣化を抑えられる。クーラント液1cc中に平均直径100ナノメートル(ナノは10億分の1)のMFBを約1億4000万個含む。部品の加工や洗浄の際、隙間に泡が入ることで接触面の抵抗が減るため、工具の長寿命化や切削速度の向上といった効果も期待できる。

(2022/1/4 05:00)

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