社説/テレワークを越えて 「社員が来たい会社」を目指せ

(2022/2/24 05:00)

コストダウンを目的としていてよいのかどうかを、考える必要がある。

新型コロナウイルス感染症でテレワークを導入する企業が一気に増えた。少数ながら都心の本社を縮小したり、地方に拠点を移したりする事例も報じられている。

長時間通勤の苦痛を和らげ、柔軟な働き方を可能にする上でテレワークは有力な武器だ。同時にオフィススペースを小さくできれば、コスト削減にもつながると期待している経営者は少なくないように思う。

そうした考えからすると、米国のIT企業のオフィス動向の事例は意外だろう。多くの社員がテレワークになじむ中で、逆に本社オフィスの拡大に動いているからだ。

米グーグルは本社のオフィス面積を倍増するとともに、隣接して店舗を備える住居ビル6棟を建てて職住接近をはかった。「イノベーションはオフィスでの偶然の出会いが生み出した。この仕組みを失いたくない」とトップは強調する。

米メタ(旧フェイスブック)は在宅勤務の積極化と並行してニューヨークなど主要都市にオフィスを増やしている。米IBMはコロナ禍でのオフィス需要減退をチャンスとして、分散している拠点を一つの大規模オフィスに集約する考え。

日本ではどうか。調査によればコロナ後も「本社を都心に置く」「広さは変えない」が過半を占める。しかし拡張まで考えているケースは少ない。

そうした中でも大手不動産会社トップは「在宅勤務とのハイブリッド型にオフィスを改造する動きは活発だ。個室やブースを増やし、談話や運動スペースを設けて社員の交流を図っている」という。別のトップは「社員が来たくなる会社にすることが大事。それは採用にも結びつく。本社はギリギリのスペースで良いというのは、限られた会社だけだ」と話す。

業績が苦しいとコスト削減に意識が傾きがち。しかし“知の生産現場”であるオフィスを削るより、魅力を持たせる方法を探るべきではないか。

(2022/2/24 05:00)

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