(2022/2/28 05:00)
世界経済にとって大きな試練である。企業経営への悪影響を見極め備えを固めたい。
ウクライナに侵攻したロシアに対し、日米欧は経済制裁を強化。資産凍結、ビザ発給停止、半導体など重要物資の輸出禁止措置をとる。米欧はロシアの銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除することも決定した。国際間決済が不能になりロシアの打撃は大きい。
ロシアは多方面から侵攻し、首都キエフを含む多くの地域で市民に被害が及ぶ攻撃を続ける。軍事力で制圧する暴挙を断念させるためにも、国際社会が足並みをそろえ、制裁の効果を高めなければならない。
国連安全保障理事会では、ロシアへの非難決議案に80カ国以上が共同提案国に加わった。ロシアのみが拒否権を行使し、中国とインドなどが棄権。ロシアの孤立が浮かび上がった。
制裁による世界経済への悪影響は避けられない。特に顕著なのは化石燃料の高騰である。
侵攻以前から国際的なエネルギー価格の上昇は問題になっていたが、ウクライナ危機により原油価格の1バーレル=100ドル超えが長期化すれば、日本にも打撃がダイレクトに及ぶ。天然ガス価格も上昇が避けられず、個人消費や企業経営を大きく圧迫しよう。政府は運輸や電力多消費産業に対する激変緩和措置や中小企業への支援策を早急に検討してもらいたい。
エネルギーの多くをロシアに依存する欧州は、日本以上に厳しい局面を迎えよう。途上国・新興国経済の行方も心配だ。通貨安と相まって経済危機が発生すれば、世界同時不況に陥る恐れもある。
今後の状況次第では制裁の長期化や、より厳しい追加の措置も考えられる。ロシアと取引のある企業は、リスクの最小化を模索する必要がある。パラジウムなどのレアメタルの輸入にも影響が及ぶことを考え代替策を検討したい。
25日の東証株価は上昇に転じ、一定の落ち着きを取り戻したものの予断を許さない。産業界としては情報収集に努め、守りを固めることを意識したい。
(2022/2/28 05:00)
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