社説/大阪公立大学が4月開学 地元中小に頼られる存在に 

(2022/3/7 05:00)

公立大学で国内最大規模の総合大学「大阪公立大学」が4月開学する。大阪の「知の拠点」と世界レベルの「高度研究型大学」を掲げる。先行き不透明な環境を生き抜く地元の中小企業にとっても、頼られる大学になってもらいたい。

大阪公立大学は大阪府立大学と大阪市立大学が統合し発足する。ともに140年を超える歴史があり、各学生数で8000人規模を誇る総合大学同士の統合はあまり前例がない。

両大学の同種分野を集約し農学部や獣医学部、看護学部を独立させ、11学部・1学域、大学院も15研究科を擁する。府大は工学や農学、獣医学、市大は理学や医学、人文・社会科学に強みがあるとされ、互いに補完関係が築ける。

ユニークな研究領域を幅広く持つのも特徴だ。新大学の学長予定者の辰巳砂昌弘氏は、府大で電気自動車(EV)の普及に欠かせない全固体電池を研究してきた第一人者。他に人工光の植物工場の研究や、がん治療で有望とされる世界初のホウ素薬剤開発に特化した共同研究拠点も構える。ドイツの人工知能(AI)研究センターのDFKIが国外で初の研究室を同大学に開設することも決まっている。

大阪・関西万博が開かれる2025年には、象徴となる新学舎「森ノ宮キャンパス」を大阪市内で開設する。大阪府・市の行政や企業とも連携し、スマートシティーを形成する司令塔の役割が期待されている。

世界から注目される研究やプロジェクトを先導することは大事だが、公立大学ゆえ地元で果たす役割も重要だ。大阪の別の大学関係者は「これまで生き残ってきた地元中小企業が、今後さらなる変革を求められるとき、地元の大学がどの程度、支援するのかはあまり見えてこない」と指摘する。

「垣根を低くし、年齢に関係なく学んでもらえる大学にしたい」と辰巳砂氏は訴える。多くの学問分野を網羅した総合知を武器に、教育の充実はもちろん、世界で通用する研究成果を出し、地域でも役立つ、理想高き大学を目指してほしい。

(2022/3/7 05:00)

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