社説/コロナ”第7波”警戒 医療体制の確保に万全を期せ

(2022/7/22 05:00)

新型コロナウイルスの新規感染者数が急拡大している。重症者数や死亡者数こそ低水準とされるものの、病床の逼迫(ひっぱく)が深刻化しつつある。8月上旬には全国の1日の新規感染者数が21日の18万人超から40万人近くに達するとの予測もある。経済活動と感染防止の両立が難しい事態も想定される。政府は医療体制の確保に万全を期すとともに、明確にしていない行動制限の発出基準も示してもらいたい。

政府が15日に改訂した新型コロナ対策の「基本的対処方針」によると「新たな行動制限を行うのではなく、社会経済活動をできる限り維持する」とし、病床確保などで自治体や医療機関を支援。中でも重症化リスクのある高齢者を守ることに重点を置き、ワクチン接種や検査、室内換気などを呼びかけている。

懸念されるのは、病床を増やしても新規感染者の急増に追いつかない事態に陥ることだ。新規感染者が増え続ければ、低水準とされる重症者数や死亡者数の絶対数も増え、低水準ではなくなることに留意したい。

東京都は病床を増やす目安である病床使用率40%を超えた12日にベッド数を5047床から6944床に増やしたが、足元の同使用率は再び40%を超えている。感染がピークアウトするまで病床を増やし続けられるかは不透明だ。病床使用率が7割を超える沖縄県の玉城デニー知事は「県民の不安が爆発するのではないか」と、何らかの行動制限の必要性を指摘している。沖縄県が例外とは限らない。政府は自治体や医療機関任せにせず、先手先手で病床の確保に取り組む必要がある。

政府は行動制限を極力回避したい意向で、産業界も経済活動の維持を求めている。だが政府が講じている現時点の対策は十分とは言い難い。臨時の無料検査場の拡充のほかは、ワクチン接種を訴える程度で、急増する発熱外来にも対応し切れていない。迅速に検査・診療を受けられる態勢整備も急ぎたい。

感染防止と経済活動の両立が困難な事態も想定される。政府は誰もが納得する行動制限の発出基準も早期に固めてほしい。

(2022/7/22 05:00)

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