社説/宿泊旅行、コロナ前が視野 政策後押しも人手不足に懸念

(2022/11/2 05:00)

国内の宿泊旅行者数がコロナ禍前の水準に回復しつつある。9月はコロナ禍前の8割まで宿泊旅行者が戻っており、「全国旅行支援」が始まった10月以降はさらなる拡大が期待される。新型コロナとインフルエンンザの同時流行や“第8波”への警戒を強めつつ、ウィズコロナの歩みを進めていきたい。

観光庁によると、9月の延べ宿泊者数は前年同月比71・9%増の3914万人で、コロナ禍前の2019年9月比では19・7%減と8割の水準まで回復している。10月11日(東京都は10月20日)から「全国旅行支援」が始まり、1人1泊最大1万1000円の補助を受けられるようになり、コロナ禍前への回復も視野に入ってきたと言える。

インバウンド(訪日外国人)の回復にも期待したい。9月は前年同月比11・7倍の20万6500人。コロナ禍前の19年9月の227万人と比べれば1割程度に過ぎないが、10月11日から“水際対策”が大幅に緩和され、円安の追い風も吹く。5万人だった入国者数の上限が撤廃され、個人旅行も解禁された。感染対策に留意しつつ、インバウンド需要を取り込みたい。

コロナ禍前の19年は3188万人のインバウンド、4・8兆円のインバウンド消費を計上した。岸田文雄首相は年5兆円のインバウンド消費を目標に掲げ、22年度末までに新たな「観光立国推進基本計画」を策定する。観光地・観光産業の高付加価値化に向けた支援、地域による観光資源の磨き上げへの支援、日本の魅力を世界に伝えるためのコンテンツ作りへの支援などを想定する。ウィズコロナを勘案した新たな観光立国への道筋を示してもらいたい。

宿泊・飲食業の喫緊の課題が人手不足。日本商工会議所によると、宿泊・飲食業の73・9%が人手不足を訴える。賃上げ、柔軟な働き方、デジタル化による業務効率化など、実現可能な手法を選択し、コロナ下で離職した従業員の不足を多少でも補いたい。他方、宿泊旅行の需要拡大は、ワクチン接種や感染防止に向けた適正な行動が前提になることも忘れてはならない。

(2022/11/2 05:00)

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