[ 機械 ]
(2016/8/30 05:00)
【エレベーター次世代運行管理システム Compass Plus】
誘導表示パネルに工夫
出勤時間帯、エレベーターホールに行列。やっと乗り込んだものの各階停止でイライラ―。こんな課題の解決につながるのが、日本オーチス・エレベータ(東京都文京区)が2015年に本格展開を始めたエレベーターの運行効率化システム「コンパスプラス」だ。ホールから目的階に到着するまでのサービス時間短縮のための独自プログラムや、利用者を誘導する表示パネルに工夫を込めた。
コンパスプラスでは、利用者はエレベーター乗車前にロビー階に設置された表示パネルに目的階を入力。パネルが割り当てた号機に乗車する。
事前に利用者の行き先階や人数を把握することにより、目的階が近い利用者同士をまとめ停止階を減らす。待機列がスムーズになったり、乗車後のボタン操作が不要になったりする利点もある。コンパスプラスは、上下ボタンを押す従来型システムと比べ、ホールから目的階に到着するまでの平均サービス時間を42秒短縮、ロビーでの最大待ち人数を65人減らせたという。
プログラムのほかにコンパスプラスで力を注いだのが表示機能。表示パネルには最大12インチの液晶ディスプレーを搭載し、日本の開発拠点「OEC―J」の山田敦所長は「矢印などでわかりやすく利用者を号機に案内できるようにした」と説明する。また多言語対応にしたほか、時間帯やフロアごとにデザインを切り替える機能や、テナント名で検索して行き先階を入力できる機能を備える。
実はコンパスプラスのような行き先階登録の技術を使ったエレベーターは、同社のほか各メーカーが国内で発売済み。しかし利用者にとって使い方がよくわからない不安があり、普及が進んでいなかった。そこで表示機能を充実させ「抵抗感を払拭したい」と日本オーチスの開発担当の坂井修氏は話す。
コンパスプラスの滑り出しは好調。在日米国大使館のエレベーター改修プロジェクトを受注し、このほど納入した。今後、10階建て以上でエレベーターを4台以上運行する高級ビルを主なターゲットに提案を積極化する。
(後藤信之)
(2016/8/30 05:00)